「英語がしゃべれるようになるにはどうしたらいいですか?」に対する正直な回答

「英語がしゃべれるようになるにはどうしたらいいですか?」という質問は本当によく聞かれます。でも、この質問に答えるには数分では足りません。なぜならこの質問の前提となる部分について明確にしていかないと、きちんと答えられないからです。そこで今回はこの「よくある質問」に対する「答え」をいつでも誰でも読めるように、文章にまとめてみました。 自分らしい

【問題】「英語がしゃべれるようになるにはどうしたらいいですか?」という問いには簡単に答えられない(^_^;)

英会話スクールを経営していると「英語がしゃべれるようになるにはどうしたらいいですか?」という質問を何度となく聞かれます。しかし、この質問をされる度にとても困ってしまいます。なぜかならば、この質問はかなり漠然としたものだからです。漠然としているので、簡単には答えられず、答えるためには時間をかけていろいろと説明しなければならいからです。

そもそも相手も軽い気持ちで聞いている時も多く、そう思える相手には「アハハ」となんとなくお茶を濁してしまいます。でも、そうやってお茶を濁した相手の中には、実は結構本気で聞いていた人もいたかもしれません。そしてもしかすると「あの人はきちんと答えてくれない」と不快に思った方もこれまでいたかも知れません。

そこで今回ここでは一度きちんと体系的に「英語がしゃべれるようになるにはどうしたらいいですか?」という質問に対する答えをまとめておきます。私からちゃんとした答えを聞けずにモヤモヤした感じが晴れずにいる方はぜひこれを読んでみてください。少しは気分が晴れてくるのではないか、と思います。もちろんそれ以外で英語学習に関して漠然とした悩みを感じている方もぜひ読んでみてください。きっと役に立つと思います。

【説明】「英語がしゃべれるようになる」には2段階ある

そもそも、どうしてこの「英語がしゃべれるようになるにはどうしたらいいですか?」という問いに簡単に答えられないのでしょう?それはこの質問の中の前半部「英語がしゃべれるようになる」という部分がかなり漠然としているからです。海外旅行で買い物をしたい程度の「英語がしゃべれるようになる」と、研究者が国際学会で発表をする際の「英語がしゃべれるようになる」はかなり違います。日本に観光で訪れた外国人に英語で道案内するときの「英語がしゃべれるようになる」とアメリカの大学に留学して卒業できるようになるための「英語がしゃべれるようになる」もかなり違います。

「英語がしゃべれるようになる」という状態にはかなりの広さがあるので、これを一括りにして「こうすればできるようになる」とは簡単には答えられないのです。

でも、まだがっかりする必要はありません。なぜならばこれは実はかなり良いニュースだからです。

「英語がしゃべれるようになる」という状態にはかなりの広さがあるので、これを一括りにして「こうすればできるようになる」とは簡単には答えられない』ということは、逆に言えば「英語がしゃべれるようになる」をきちんと分類して、自分がどの状態の「英語がしゃべれるようになる」を目指すのかを明確にできれば、「英語がしゃべれるようになるにはどうしたらいいですか?」に対する答えを出すことは、実は難しいことではない、ということだからです。そしてこの答えが出れば、具体的に英語がしゃべれるようになるために何をすればいいのかが、かなり明確にわかってくるのです。

その分類は、英語を話すシチュエーションや仕事の内容、英語を話す国や文化の違いなどによって無数の区別が可能です。ただ、ここではまず、とっかかりとしてわかりやすくするために、かなりおおまかに分類してみましょう。おおまかには「英語がしゃべれるようになる」には2つの段階が考えられます。この2つの段階に分類できるだけでも、やるべきことがかなり明確になってきます。

[段階1] あいさつや買い物での表現など、決まりきった表現がひと通り言えるようになる

これはお決まりの表現を丸暗記して、その場面が来た時に覚えたままに口に出していけるようになる段階です。ピアノの弾き方を習うことに例えて言えば、「曲を楽譜通りに弾くことを覚えて、その覚えた楽譜を楽譜通りに弾けるようになる状態」です。「曲」のレベルにも簡単なものから難しいものまでありますが、簡単なものなら比較的すぐにできるようになるでしょう。

この段階の「英語がしゃべれるようになる」なら、近くの英会話スクールに通ったり、NHKのラジオ講座を勉強したりすれば、かなり短期間で到達することができます。

[段階2] 自分の考えや意見をその場の状況に合わせて自分なりの言い方で言えるようになる

これはその場の状況に合わせて、自分なりの英語で自分の考え方を相手に伝えたりすることができるようになっている段階です。ピアノの弾き方を習うことに例えて言えば、「その場の雰囲気や気分に合わせて、即興で曲を弾けるようになる状態」です。この状態になるには少し時間がかかります。最低でも数年単位の時間は必要でしょう。さらに奥は深いので、数年かけてこの状態になったとしても、その先を極めようと思えばどこまでも先は存在しています。ですからこの段階2には終わりはない、とも言えるでしょう。

2-phases-of-language-mastery

【解決策】自分が目指す「段階」に合わせた取り組みをする

このように「英語がしゃべれるようになる」にはおおまかに2つの段階に分類できるのです。もし自分に必要な英語力が「段階1」なら、すぐにできるようになります。近くのお気に入りのスクールに通ったり、良い教材を見つけて楽しんだり、その言葉が話されている国に気軽に遊びに行ったりしているうちに、比較的短期間でできるようになるでしょう。

ただ、「段階2」を目指すなら、ある程度の時間がかかるのは覚悟が必要です。しかし、成果が出るのが何年後にもなる、と思うとなかなかやる気が出にくいものです。どうすれば数年後の成果に向けてやる気を持続させていくことができるのでしょうか?

そのためのコツはいくつかありますが、もっともオススメなのは、長い先の目標の手前に、道標となるような短期の目標を掲げるようにするというやり方です。遠くの目標と矛盾しない、その通過点にあるせいぜい数ヶ月先の目標を立て、それに向かってまずは取り組むようにするのです。そしてひとつクリアしたら次の数ヶ月先の短期の目標を立て取り組んでいく、ということを繰り返していくのです。

一冊の洋書の読了を短期の目標とするソフィーでの方法

reading-catソフィー・ジ・アカデミーではその道標として「洋書」を使っています。1ヶ月〜3ヶ月でビジネス系の洋書などを一冊読むことを目標とし道標とするのです。そして1冊読むごとに、そこから学んだ内容を自分の仕事やプライベートに活かすようにします。そうすると現実に自分や自分のまわりに変化が訪れるので、それが楽しくなっていきます。やがて英語力を上げるという長期的な目標は忘れてしまえるほどになり、手持ちの英語力を使って自分のまわりの現実を変えようとする取り組みにのめり込んでいきます。夢中でこのプロセスを繰り返して目の前の課題を洋書からヒントを得ながら解決し続けていくうちに、しばらくして気が付くと「段階2」の英語力が身についていた、という状況が訪れます。

これは実際に私がアメリカに留学した時に体験した方法ですし、アメリカ留学から帰ってきてから英語力を伸ばし続けたのも、基本的にこの方法です。当初掲げていた「英語がしゃべれるようになる」という目標は、目の前の「英語を使って情報を吸収し、目の前の現実に変化が起こせるようになる」という「報酬」がインパクトが大きいため、いつしか「いつか達成できればもうけもの」程度の意識になり、変な固執やストレスがなくなります。そしてストレスがなくなるからからこそ、自然に続けられるようになっていき、「結果として」長期的な目標が達成しやすくなっていきます。

ひとつのやり方に固執せず、自分に合ったやり方を見つけて実践していこう

「段階1」でも「段階2」でも、ここで紹介したような方法だけでなく、他にも様々な方法が考えられるでしょう。ただ大事なのはきちんと「英語がしゃべれるようになる」という状態を区別する、ということです。その区別さえできれば、不必要に悩んだり、迷ったりする必要がなくなってきます。ぜひ意識してみてください。

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