新しい時代の学習は「農業」である【英語学習に役立つ考え方と4つのコツ】

従来の教育は人間の学習を「機械」や「コンピューター」のように捉えてしまっています。この学習に対する理解は間違っている、と私たちは考えています。人間の学習は従来の「コンピューターモデル」ではなく、これからは「農業モデル」で理解していくことが大切だ、と思うのです。そしてそれによって学習はより理にかなっていて、楽しく意味のあるものにしていくことができる、と思うのです。

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【問題点】従来の教育は人間の学習を「機械」「コンピューター」に例えて理解している

従来の教育は人の学習を「機械」もしくは「コンピューター」として捉えているのだと思います。 コンピューターにはインプットしたいデータは一回でインプットされます。 アウトプットも正しく操作すれば一回ですぐに可能です。人間の脳も本来一回でインプットしたら、そのまま必要なときにアウトプットできるはず、、、というような前提で教育のシステムは作られている気がします。

しかし、この「コンピューターモデル」には誤りがあります。なぜなら人間は「機械」でも「コンピューター」でもないからです。確かに「短期記憶」と呼ばれるような、脳にインプットしたらすぐに覚えてアウトプットできるような種類の記憶も存在します。限定的に言えば、この部分は「コンピューターモデル」で表せるものかもしれません。

しかし、「長期記憶」と呼ばれるような長く脳に定着するような記憶や、もっと本質的な深い理解を伴った記憶は、これでは表せません。 私たち、もしくは私たちの脳はもっと有機的なものであり、「機械」ではなく「生物」です。 そこでの学習は機械的には現れず、もっと有機的に現れます。それなのに人間の脳を「機械」とか「コンピューター」のようにとらえた前提で、学習や教育を行っているから、様々な無理や矛盾が生まれてしまうのだ、と思うのです。

【解決策】「コンピューターモデル」から「農業モデル」へ

watering-cat私たち人間が行う「本質的な学習」は、例えるとしたら「コンピューター」よりも「農業」に近いのだと考えています。 「本質的な学習成果」の種は、その種をまいてもすぐに芽が出るわけではありません。すぐに花が咲くわけでもありません。水をまき、肥料を与え、太陽の光を浴びさせる時間が必要なのです。そしてその十分な時間の後、芽が出て花を咲かせ、果実を実らせていくのです。

英語学習の場合

英語学習でも、「本質的な学習成果」というのは「直線的」、もしくは「機械的」には現れません。

たとえば単語のつづりを覚えてテストでは答えられるようになったとしても、実際に洋書の中で出てきたら、頭に入ってこなかったり、文脈の中で意味が解釈できなかったりします。また、目の前で誰からその単語を使っても聞き取れなかったり、聞き取れても文の中での意味が分からなかったりします。もしくは自分の言葉としてその単語を言おうと思っても、うまく口から出てこなかったりします。

これは「表面的な学習成果」は機械的に得られても「本質的な学習成果」は機械的には得られていない、よくある例のひとつです。

時期が来て自然に花が咲くように、時期が来ると言葉も口から流れだす

ところが、面白いことに、自分の興味を大切にしながら楽しく英語の学習を続けていると、その単語を覚えてからしばらくしてその単語を覚えたことすら忘れてしまったような時に、洋画の中に出てきたその単語を聴いて、ふとそのニュアンスが理解できたりします。

何気なく読んでいた洋書の中に出てきたその単語を見て、急に深い語感が理解できたりします。目の前で誰かが使ったその単語を突然聞き取れたり、思いがけずその単語が口から出てきたりします。

こういった「本当の成果」は「非直線的」もしくは「有機的」に現れるのです。いつその成果が現れるのかはよくわかりません。それはちょうど種をまいた植物が芽を出すのに似ています。はっきりとはわかりませんが、条件が整い、水をあげ続けていれば、一定の期間が経てば芽を出してくるのです。

「農業モデル」で学習を継続することが、「良い収穫」を得るためには大切

言語の場合、「有機的な学習効果」は、種を撒いてから少なくとも半年から1年以上は芽が出てくるまでにかかると思います。あかちゃんも言葉をしゃべり始めるまでに1年とか2年はかかるからです。

多くの人はこのことを知らないために、1年以上の「種まき」や「水まき」を続けられません。しかもこれまで学校教育の中で慣れ親しんできた「直線的」で「機械的」な成果が出ないためイライラしてしまったりして、「自分」という芽が出る「土壌」を毒してしまいます。

効果的な学習成果を出すにはこの「土壌」を毒さずに、せっせと継続して種まきと水やりを続けて行くことが大切です。

ちなみに「良い種」は英語の場合は「良い英語」ですから、良い洋書でインプットを続けるのは効果的です。「土壌」は良い気分でストレスなく英語に触れ続けることによって 栄養が増えていきます。 有機的でエネルギーにあふれた英語の成果を出したいのなら「コンピューターモデル」にしがみつくのをやめ、「農業モデル」に慣れていくことが大切です。そうすれば成果は必ず訪れます。

「農業モデル」を実践する4つのコツ

学習を「機械」ではなく、「農業」として捉えると、次のようなことが、学習の本質的成果を上げるためのヒントとして見えてきます。

(1)良い「種」をまくことが大切である     

通常の英会話スクールに行って天気の話ばっかりしても良い種はまけない。TOEICの対策問題ばかりやっても有機的な種はまけない。自分の興味がある英語や質の高い英語をインプットすることが必要。良い洋書を読んだり、尊敬する人のスピーチを聞いたりして良い「種」を自分の中にまくべし。

(2)たくさん「種」をまくことが大切である     

たくさん良い種をまけばまくほどたくさん良い花が咲く可能性が出てくる。楽しみながら、毎日の生活の中でコツコツと「種」をまきつづけよう。

(3)「種」をまいてから「花」が咲くまでタイムラグがある     

種をまいてからすぐに芽が出たり花が咲かないとダメだ、と思わなくて良い。種をまいてから水をあげたり肥料をあげたり、日光を浴びさせたりする時間が必要である。種をまいてから芽が出たり花が咲いたりするまでの時間を、贅沢に楽しむべし。

(4)良い「土壌」も大事     

たくさん種をまいても栄養がいっぱいの土壌がなければ花は咲かない。ここでは土壌は人の頭や心に相当する。ふだんから良い精神状態を保ったり、英語以外にも良い情報や言葉を頭にインプットしておいたり感謝の気持ちで日々を過ごしたり豊かな人間関係を育むようにしたりすると「土壌」は栄養がいっぱいになり、花は咲きやすくなる。

※(4)の補足

英語の学習をする時、「種」である英語自体の質とか量についてはわかりやすいと思います。 ただ(4)の「土壌」という考え方は案外見落とされがちです。 農業モデルに立って考えれば、いくら良い種をまいても、いくらたくさん種をまいても土の状態が良くなければ、発芽しなかったり、発芽しても成長しなかったり、成長しても花が咲かなかったり、実がならなかったりします。 ですから土づくりも、種まきと同様に、いや、それ以上に大切です。

故に、普段の生活から、良い言葉を使うように心がけたり、自然の中で時間を過ごすように工夫したり、なるべく他人のせいにしないように注意したり、物事を前向きに捉えるようなクセをつけるようにしたり、感謝の言葉を口にするように気をつけたり、ということをすることは学習成果を上げるのに、非常に高い効果があります。

これらのことを頭に入れておくと、学習効果が上がりやすくなります。 ぜひ意識してみてください。

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