山の登り方と洋書の読み方の共通点

私は大学時代、山岳部に所属していて毎週末のように山登りをしていました。その中で学んだ「山の登り方」は「洋書の読み方」と多くの共通点がある、と考えています。特に山登りをしたことがある人にとってはこの例え話は、洋書の読み方をマスターする上で役に立つかもしれないので紹介します。

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【内容の要約】

  1. 山登りと洋書の読み方には共通点がある
  2. 【問題点】洋書を読むという大きな課題を目の前にして、はじめる前に心が折れてしまう
  3. 【解決策】一歩を踏み出せば、「必ずゴールには近づく」ということを知る
  4. 【注意点1】時折全体像も確認すべし
  5. 【注意点2】「一歩」への集中と「全体」への意識の適切な「バランス」を保て

1.山登りと洋書の読み方には共通点があるcrimbing

私は大学時代、山岳部に所属していました。高校まではずっと野球をやっていたのですが、甲子園に出る夢が破れてすべてを見失ったような感じになりました。そこでなんとなく山に登っていたら人生の大切なものが見えてくるような期待感があって山岳部に入ったような気がします。

その大学時代は毎週のように山に登りました。平日はアルバイトをし、それでためたお金を使って毎週末山登りに出かける、というような日々を過ごしていました。30キロ近い重い荷物を背負ってアルプスの山々を上り歩くということは、決して楽なものではなく、今思うともう少し違う大学時代の過ごし方もあったのかもしれない、とも思います。

しかし、その山登り漬けの日々の中から得たものは少なくなく、実はそこで得たものはその後のアメリカ留学でのメンタル面を正常に保つことにも役立ちましたし、今こうやって英会話スクールや塾を経営する上でも大きな参考になっています。そしてソフィーで教えている「洋書の読み方」にも大きな影響を与えています。

実は私は「山の登り方」と「洋書の読み方」には、数々の共通点があると考えています。

2.【問題点】洋書を読むという大きな課題を目の前にして、はじめる前に心が折れてしまう

英語が外国語である私たちの多くにとって「一冊の洋書を読む」ということは、まるで「ヒマラヤの山を登る」ことのように困難で難しいことのように思えてしまうかもしれません。場合によってはあまりにも困難に思えるために、一歩を踏み出す前に諦めてしまったり、一歩を踏み出したとしてもすぐに心が折れてしまったりすることもあるかもしれません。

このように山登りにしても、洋書を読むことにしても「自分には無理」と思い込んでしまうこと自体が大きなプレッシャーとなり、前に進むための足かせとなっていってしまいます。この心理的なプレッシャーがあることで、余計に体が動かなくなったり、余計に頭が働かなくなったり、いつも以上に英語が読めないような気がしてしまったりしてしまうのです。

3.【解決策】一歩を踏み出せば、「必ずゴールには近づく」ということを知る

そこでまず大切になってくるのが心理面のコントロールです。自分に必要なプレッシャーは歓迎すべきですが、不必要なプレッシャーは感じる必要はありません。それを感じてもプラスになることはありません。マイナスになるばかりです。ですから山に登る前には不必要なプレッシャーは手放してしまいます。どうやって手放すかというと「一歩を踏み出せば必ずゴールには近づく」という事実を確認し、それを歩きながら意識し続けるのです。そして「あとどれ位の行程が残っているのか」ではなく「これまでどれくらいの行程を進んだのか」の方に意識を向け、自分を勇気づけ続けるのです。

洋書を読むときも同じです。英語という言語は多くの日本人にとって習得するのが非常に厄介な言語です。なぜならば中学高校大学での英語学習の中で、変なコンプレックスを英語に対して持ってしまっていることが多いからです。そのコンプレックスを最初に取り除いてあげることが、学習者の成長をサポートするためには非常に重要です。そしてそのために「少しでも読み進めば、前進しているのだ」ということを繰り返しフィードバックして気づかせてあげることが非常に重要になります。

この、少しずつでも前進している、という感覚が山登りと洋書を読んでいくプロセスでは非常に似通っていると思っています。

山は一歩一歩足を前に出すと、確実にゴールが近づいていきます。一歩を踏み出して、ゴールが遠のくことは絶対にありません。洋書もまったく同じで一歩一歩読み進めていけば、確実に読了というゴールが近づいてきます。読み進めていくうちにページ数が多くなっていく、なんてことはありません。この事実を知り、コツコツと目の前の一歩を踏み出し続けるというプロセスをシンプルに心穏やかに、そして楽しみながら行っていくことが、山登りでも洋書を読むことにおいても重要なのです。

(このあたりのことはソフィーでは「コントラストの法則」とか「加点法評価」と呼ばれているものです。詳しくは別ブログ記事でも書かれていますので、興味があれば読んでみてください。)

4.【注意点1】時折全体像も確認すべし

ただし、ひとつ注意点があります。それは、一歩一歩前に踏み出していくことに集中しすぎて全体像を見失わないようにする、ということです。

山登りは、その行程の全体像を頭に入れ時折確認することが大事です。一歩一歩足を踏み出すことに集中することは大切です。しかしそこに夢中になりすぎて行程の全体像を見失ってしまうと、道に迷い遭難してしまいます。

洋書を読んでいく作業もまったく同じです。自分の興味がある部分や自分に必要だと思われる部分をコツコツを集中して読んでいくことはすごく大切です。しかし、その作業に集中しすぎて本の全体像を見失ってしまうと、「読み終わったけど、何も残らなかった」ということになってしまうかもしれません。

5.【注意点2】「一歩」への集中と「全体」への意識の適切な「バランス」を保て

しかし全体へ意識を向けると、とたんに一歩への意識が薄れてしまったり、全体像が大きく自分に迫ってくるような気がしてプレッシャー感が戻ってきてしまうことがあります。山登りで自分が進む方向の先の先ばかりを見すぎていると、足元の石に躓いてころんでしまうこともあるでしょう。洋書も全体像ばかり見ていると、目の前の一文一文を味わうことや理解を深めることがしにくくなってしまうことがあります。

そのあたりの「一歩」と「全体」への意識配分の「バランス」加減が山登りも洋書を読むことにおいても、初心者にとってはちょっとむずかしい部分です。ですから最初は意識的に両者の意識配分を考えて進む必要があるかもしれません。場合によっては経験者からアドバイスをもらいながらそのあたりの意識配分をマスターしていくことも必要かもしれません。しかし、慣れてしまえばこれはそれほどむずしいことではなく、誰もが当たり前にできるようになっていってしまいます。

ソフィーではこの洋書の読み方に関するコツを「山登り思考法」と呼んでいます。洋書を読んでみようと思って何冊か買ってはみたけど結局挫折してしまった、というような方はぜひ参考にしてみてください。

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