リスニングの「現実の実力」をアップさせる4つのコツ:今までのやり方では上達しない理由

いくらTOEICなどの英語のテストで良い点数がとれても、いざ実際に英語を話す場面になると相手がしゃべっている英語がぜんぜん聞き取れない、ということはよくあることです。なぜなんでしょうか?実はテストで点数を取るための「リスニング力」と実際の場で会話をするときの「リスニング力」には大きな違いがあり、実際の場面で通用する「本当の実力」をアップさせるためにはテスト勉強とは違った習得のコツがあるからなのです。

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【内容の要約】

  1. [問題点]勉強してもリスニング力がなかなか上がらない・・・
  2. なぜ勉強してもリスニング力があがらないのか?
  3. リスニング力を上げるための4つのコツ

1.[問題点]勉強してもリスニング力がなかなか上がらない・・・

リスニング漬けで頭がおかしくなってきた猫まず最初に、注意点から。ここでお話しする「リスニング力」とは、TOEICなどのテストで良い点数をとるための「リスニング力」ではありません。そうではなく、実際に英語で会話をする際の「リスニング力」の話です。

TOEICなどのテストで900点以上をとっても「英語が聞き取れない」と思っている人は、実はたくさんいます。これはなぜかと言うと、簡単に言うと「テストのためのリスニング」と「現実のリスニング」は、実はかなり違うものだからです。

「テストのためのリスニング」は「現実のリスニング」の一部を取り扱っているものにすぎません。だから「テストのためのリスニング」を一生懸命勉強して高い点数をとっても「現実のリスニング」はできるようになりません。
逆に「現実のリスニング」ができるようになれば「テストのためのリスニング」はできるようにはなります。

2.なぜ勉強してもリスニング力があがらないのか?

「リスニング」というと「聞く」ことですよね。だから「音」だけに注目しようとします。「耳」に意識を傾けて、一生懸命聞き取ろうとする。でも、実はこれが大きな間違いです。なぜならば私たちは「現実のリスニング」の場面では、音だけを聞き取っている訳ではありません。

一説では人間は会話をする際に「言語」の情報から得る理解はわずか1割ほどで、他の9割は非言語、つまり音のトーン、イントネーション、動作、表情、間、状況などから情報を得ていると言われています。

有名な「メラビアンの法則」では、コミュニケーションのうち「言語」が占める割合はわずか7%しかない、と言われています。

この「メラビアンの法則」は、あまりにも具体的な数値を示したためか、少なからず異論もあるようですが、一般的に思われているよりも圧倒的に「音」以外の部分で人は情報を得ている、ということに関しては研究者の一致した見解のようです。

この事実から考えると「音」だけを一生懸命聞き取れるようにしようとしても、現実の場面ではコミュニケーションの1割しか理解できない、ということがわかります。

どんなに勉強をして「テストのためのリスニング」の鬼になったしても、それだけでは現実の場面ではあまり役立たない、ということなのです。

3.リスニング力を上げるための4つのコツ

じゃあ、「現実のリスニング」の力をつけるためにはどうしたらいいのでしょう。
そうです。「非言語」のコミュニケーション力を高めればいいのです。

1割の「言語」の部分を一生懸命勉強したり、練習したりするよりも、9割の「非言語」を勉強し、練習した方が、圧倒的に効率的なのはわかるでしょう。
1割の「言語」で100点をとるよりも、9割の「非言語」で30点とる方が、圧倒的に効果的なのです。
では、具体的に「非言語」の部分の力を上げていくためのコツを4つ紹介しましょう。

コツ1 全身リスニング

私たちは音だけ、つまり「言語」の部分だけを聞こうとするリスニングを「耳リスニング」と呼んでいます。それに対し「非言語」の部分も聞き取ろうとするリスニングを「全身リスニング」と呼んでいます。
相手の「言語」以外の全身で伝えられる「非言語」を聞き取るには、聞き取る側も「全身」を使う必要があります。耳だけを相手に向けるのではなく、全身を相手に正対させ、体でメッセージを受け取る、という感じです。

イメージでいうとこんな感じ。
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これは裸でも生きる――25歳女性起業家の号泣戦記 (講談社BIZ)
という、女性起業家がバングラデシュ支援のために現地で起業したときのことを書き綴った名著。
今は増版を重ねて違うものになっていますが、初版の帯の写真が上のものです。おそらく著者の山口さんがバングラデシュで現地の人の声を聞いている時の写真だと思われます。この全身がガッと言っている感じはまさしく「全身リスニング」です。

山口さんのこの写真はかなり気合いが入っているので、ここまでやると相手はビビってしまうでしょうが、ここまで気合いを入れずに、全身を相手に向けて受け止める感じです。

英語を話すとき、英語を聞くときに、こういうイメージで聞いていくと「現実のリスニング」の力は急激に上がります。

ちなみにこの「全身リスニング」は当然日本語を話しているときにも使えます。家族や会社の部下などにやってみてください。きっとまわりから急に「コミュニケーション上手になった」とか「人間が丸くなった」とか言われるんじゃないか、と思います。

コツ2 非言語コミュニケーションに関する知識をつける

非言語コミュニケーションに関する本を読んだり、番組を見たりするのもおススメです。相手の表情がどんな意味を持つかとか、どの動作がどんな感情を表しているか、とかを知ると、相手の「非言語」の部分に自然に意識が行くようになり、「言語」にとらわれすぎなくなります。

一番のおススメはアメリカの人気ドラマ「Lie to Me」を見てみることです。これはポール・エクマンという研究者の非言語コミュニケーションに関する研究をFBIが容疑者の嘘などを見抜くために使っているという事実をもとに作られた連続ドラマ。

この1シーズン目を見るだけで、かなり勉強になります。
英語のドラマですから、当然それだけで純粋に英語に触れる機会にもなります。

予告編はこちらで見れます。

さらにこのドラマの1話前編がアマゾンで無料で見れます。

コツ3 英語ドラマを見る

一定の非言語コミュニケーションに関する知識を得た上で、英語のドラマを見ましょう。これまでは「耳リスニング」をしてしまっていたかもしれませんが、自然と「全身リスニング」になっているはずです。

アメリカのドラマはアマゾンでDVDを買ったり、レンタルビデオ店で借りるのもいいでしょう。
私のおススメはいつでも好きなときに見れる毎月定額のHuluです。

コツ4 著者ビデオを見る

洋書を読みながら、その著者のビデオを見るのもとても良いです。英語の本の著者の大半は、その人の講演会のビデオやインタビューされたときのビデオがYoutubeなどにアップされています。
洋書を読んでいるので、著者が話していることの概要はわかっています。だから、一語一句の細かいところよりも話の全体像や著者の非言語コミュニケーション的な部分に意識が自然に行きやすく、「全身リスニング」を行いやすいのです。

たとえば、ソフィーおススメの交渉学に関する名著”Getting to Yes”の著者Willium Uryのスピーチはこちらで見れます。

以上が、「現実のリスニング力」をあげるための4つのコツでした。

ぜひ1つでも参考になりそうなものがあれば、試してみてください。

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