洋書を読んだ後の英語力の伸びを倍速にする「夏目漱石メソッド」

洋書を使って英語学習をスタートさせたばかりのときは、なかなか学習の進歩が実感できずに学習を諦めてしまいそうになるものです。そんなときにその学習の成果を実感し、英語力の成長を実感しやすくするためのごく簡単な、しかしパワフルな手法を紹介していきます。

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【問題点】洋書を使った学習方法の効果が実感できない

洋書を使った英語学習を始めたけれど、「なかなか読めるようになっている実感がない」という方もいるかもしれません。英語の実力の伸びというのは、取り組み始めてからそれが実感できるまで、少しタイムラグがあることがよくあります。ですから最初のうちは実力のアップが実感できずに不安に感じたり、イライラしてしまったりすることもあるかもしれません。

しかし、学習の当事者としてはできるだけそのタイムラグを少なくし、早く実力の伸びを実感したいもの。洋書を読んでいて、「確かに読めるようになってきている」という感覚をしっかりと感じられるように一日も早くなりたいものです。

では、そのためにはどうしたらいいのでしょうか?実力の伸びを少しでも早められるような具体的な方法はないのでしょうか?

【解決策】「とにかくなんでもいいから書く」ことをせよ!

洋書を使った英語学習法の効果を少しでも早く実感できるようにするためにおすすめしていることが「とにかくなんでもいいから書く」ということです。ノートにでもホワイトボードにでもなんでもいいので、読みながら気づいたことや理解したことなどを書き出していくのです。

中でも特にお勧めしているのが「洋書に書き込みをする」というやり方です。ページの余白に、内容の要約や気づいたこと、もしくは行動のアイデアなどを書き殴っていくのです。もし、何も理解できないようなら、そのときの気持ちを書いたり、まったく関係のない落書きのようなものを書いても構いません。それだけで集中力が増したり、理解度がアップしたりする効果があります。

「とにかくなんでもいいから書く」ことの効果を、はじめて体験した22才の秋

最初に私がこのような「とにかくなんでもいいから書く」ということの効果を実感したのは22才でアメリカの大学に留学したときのことでした。

当時の私の英語力は惨憺たるもので、マクドナルドできちんと注文もできないほどでした。注文したはずと思ったものと違うものが出てきたり、店内で食べたかったのに持ち帰り用に袋詰めされてしまったりしていました。

当然、大学の授業の内容なんて聞き取れません。最初に出た授業は本当にまったく内容がわからず、どんどん眠くなっていく始末。とりあえずせっかくアメリカまできて授業中に眠るのは避けたい、と思い、その眠気との戦いに終始していました。

クラスが始まって2~3日した頃、ランチ直後の午後の授業で特に眠かった私は、何とか眠らないための苦肉の策として、教授の授業を聞いているフリをしながらノートにはまったく関係のない落書きをする、という方法を思いつきました。教授が話しているときには彼の目を見てフムフムと大げさにうなづき、話と話の合間に下を向いてノートにドラえもんとかを、さもまじめそうな顔をして描いてみたのです。

この苦肉の策はかなりの効果がありました。眠気がウソのようになくなったのです。それだけでなく落書きを繰り返して手を動かしているからか、頭が明晰になり、ドラえもんがどんどんリアルに完成度が高くなっていったのに加え、なんとなく教授の話も頭に入り始めたのです。さらにはあまりにも威勢よくうなづいてはノートを一心不乱に取っている私を見たからか、教授がどんどん私のペースにあわせて授業を進めている感じになってきました。いちいち私の顔色をうかがい”Understand?”のような言葉掛けをしてから授業を前に進めてくれるようになったのです。

気づくと私はドラえもんを描くのをやめ、本当に授業を聞いて学び取ったことをノートに書き留めるようになっていました。数日前までマクドナルドでの注文もできなかった自分の進歩にひどく驚いたのを覚えています。

「とにかくなんでもいいから書く」ことの効果の科学的証明

このように落書きでも何でもいいので「とにかくなんでもいいから書く」ことにより頭がさえるようになり理解力も上がっていくことは科学的な実験でも証明されているようです。

被験者たちをランダムにグループに分け、どちらのグループにも人の名前のリストを読み上げて聞かせます。その際、片方のグループには何もせずにただその読み上げを聞いてもらい、もう片方のグループには目の前の紙に自由に落書きをしながら聞くように促します。するとその後実施された抜き打ちテストで落書きをしながら聞いていたグループは29%も良い成績を残したのです。

(イギリスの医学専門誌『ランセット』に掲載された研究wsj.comよりhttp://jp.wsj.com/articles/SB10001424052702304180804580063090746662412)

夏目漱石も洋書に書き込みしまくっていた!

natume-soseki-jotまた、明治の文豪、夏目漱石も、洋書を読む際にページの余に直接書き込みをしながら理解をしていたことで知られています。たとえば、シェークスピアのハムレットの原書の書き込みページがこちら。

洋書をただ読むだけではなく、かなりいろいろな考察をしながら読み進めていた様子が感じ取れます。

多くの人は「理解してから書く」のが当たり前と思ってしまっています。しかし実際は「書くから理解できる」という方が正しいようです。ですから最初は洋書を読み始めてみて「何もわからない」と感じたとしても、とりあえず落書きでいいので書いてみればいいのです。そしてもし少しでもわかったことがあったらわかったことの内容もついでに書いてみるようにしましょう。

おすすめの方法は「小見出しを書く」こと

特に最初にうち、おすすめなのは「内容の要約を小見出しのように書いていく」というやり方です。

日本語の本に比べ英語の本はパラグラフごとの意図がかなりはっきりしています。ひとつひとつのパラグラフに小見出しをつけていくようなイメージで一言二言書き出していくのです。もちろん意味が分かったパラグラフだけでいません。最初はちょっと面倒くさく感じるかもしれません。しかしこれをしておくことでその時に脳が活性化して理解力が高まるだけでなく、後からもう一度見直し「カレーライス効果」を利用するときにとても役に立つのです。最終的には自分が好きなようにやればいいので、ひとつのやり方にとらわれることはありませんが、「何から書いたらいいのかわからない」という人はぜひここから始めてみてください。

洋書への書き込みをしたくなるボールペン3選

最後に洋書に書き込みをするときにおすすめしたいボールペンを3種類紹介しましょう。

1.フリクション

「とは言え、やっぱり本に書き込みをするのは抵抗がある」という方におすすめなのがこちら。「消せるボールペン」です。間違ったことを書いてしまったりするのが怖くて書き込めない、という心理的抵抗をこのボールペンは見事に解消してくれます。この4色ボールペンなら内容の小見出しは赤、自分の考えや感じたことは青、などと色分けできますしお勧めです。

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2.おんぶっく

洋書の表紙に引っ掛けてピタッとはまってくれるのが、「おんぶっく」というペン。ペンの色は黒しかないのですが、替芯を買えば赤や青のものも作れます。洋書に書き込みをしたいのにペンがない、というストレスをなくしてくれる逸品です。

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3.ジェットストリーム

書き心地にこだわるならやっぱりジェットストリーム。なめらかにペン先が滑るだけでやる気が出たりするから人間の心って不思議です。これも4色ボールペンがお勧め。

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まとめ

まずは専用のボールペンを用意するところからぜひ始めてみてください。少しだけでも良いので勇気を出して書き込んでみましょう。

「どうしても勇気が出ない」という人は、「鉛筆で書き込んでみる」のも良いかもしれません。もしくは「付箋紙を貼り、そこに書き込む」というやり方もアリでしょう。

必ず洋書の読解力があがり、それによってリスニング力やスピーキング力などその他の英語力もあがりやすくなっていくはずです。またそれにともなって洋書を読んでビジネスや私生活での問題を解決していく力もどんどん上がっていくようになるでしょう。

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