洋書を読むことでリスニング力が上がる4つの理由

好きな洋書をどんどん読んでいくと英語のリーディング力だけでなく、自然とリスニング力もついていくようです。どうしてそういうことが起こるのか、私たちも最初は不思議でしたが、今はその理由がわかるようになってきました。ここではその主な4つを説明します。

【内容の要約】

  1. [現象]洋書を読み続けた後リスニング力も上がる人が続出
  2. [理由]洋書を読むことでリスニング力が上がる4つの理由

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1.[現象]洋書を読み続けた後リスニング力も上がる人が続出

現在「『読む』からはじめる英会話スクール ソフィー・ジ・アカデミー」として運営している事業は、一番最初は「経営者英語大学」という名前の通信講座でした。

完全に経営者だけを対象とした講座で、私が個人的に経営のヒントを得るために読んでいた洋書を、「他の経営者仲間にも読んでもらいたい!」という極めてパーソナルなところから始まったものです。

私自身がアメリカに留学したときの経験から、中学卒業程度の英語力があれば、手持ちの英語力でそこそこ情報収集ができる、ということはわかっていました。そこでそのノウハウを体系化して、伝授しつつ、自分自身の会社の経営改善に役立った洋書を厳選して紹介していく、という形でスタートしました。

もともと「英語力をアップする」という目的はほとんどありませんでした。それよりは今の英語力を最大限に生かして必要な情報収集をする、ということに主眼がおかれていました。

ただ、もちろんこの方法で読んでいけば、次第に英語に慣れて英語のリーディング力が上がっていくだろうということは、だいたい予想できました。

そして実際に半年位すると、明らかにリーディング力がつき始めた感じの人がでてきて、TOEICの長文問題などでも明確に数字として結果が出てきました。
ところが、同時に意外な結果も出始めました。TOEICでリーディングのスコアだけでなく、リスニングのスコアも上がり始めたのです。

はじめは偶然だろうと思っていたのですが、次から次へと同じようにTOEICのリスニングが上がる現象が起こりました。また、海外旅行に行くときに「これまではまったく聞き取れなかったのに、今回初めて英語の機内アナウンスが全部聞き取れた」などと言う人も現れ、これは偶然ではなくなんらかの理由で洋書を読むことでリスニング力も上がっているのだろう、と考えるようになりました。

 

2.[理由]洋書を読むことでリスニング力が上がる4つの理由

数年にわたって様々な文献をあたったりしながらその理由を考察し続けました。その結果、見えてきたのが次の4つの理由です。

【理由1】トップダウンでの理解ができるようになる

英語が聞き取れないことのひとつの大きな理由は、わからない単語がひとつでもあるとそこが気になりすぎてしまい、「全体で何を言おうとしているのか」に意識が行かなくなってしまうことにあります。
しかし内容を理解するためには、わからない単語があってもそれに気を取られすぎずに、わかる単語だけで全体を推測することが大事です。

日本語でも、たとえば電話の電波が悪くてよく聞き取れない場合などは、「聞き取れる言葉」だけで全体を推測し、「聞き取れない言葉」を補おうとします。この「推測」は、実は私たちは母国語を使うときにはかなりの度合いで行っています。

ただ英語になると、「聞き取れない言葉」が気になってしまい、他の言葉が聞こえなくなってしまったり、他に「聞き取れる言葉」がいくつかあるのに「推測」をするのをまったくあきらめてしまったりします。だから、なかなか英語を聞き取ることができません。

ところが洋書を読むようになると、この「わからない言葉」を「わかる言葉」から推測するクセが数ヶ月で習慣となっていくようで、そのクセが読むことだけにではなく、リスニングのときにも自然と行われるようになっていきます。

この「わかる言葉」から全体像をとらえ、「わからない言葉」を推測し補っていく理解の仕方をソフィーでは「トップダウン」と呼んでいるのですが、そのトップダウンがリーディングの時だけでなく、リスニングのときにもできるようになっていくようです。

【理由2】ボキャブラリーが増える

洋書を読めば英語のボキャブラリーはどんどん増えていきます。ボキャブラリーが増えれば当然聞き取りやすくなっていくはずです。

※洋書を読むと単語力がつく、という件に関しては詳しくはこちらの記事をお読みください。
英単語の究極の覚え方:これまでどんな方法もうまく行かなかった方へ

【理由3】背景知識が増える

洋書を読んでさまざまな知識が増えてくると、いろいろな分野への背景知識がついてきます。背景知識があると、それについての会話なら多少わからない単語があっても内容を聞き取ることがしやすくなります。

たとえばコンピューターに詳しい人はその分野の英語ならだいたい聞き取れたりします。私もアメリカに留学した最初の1学期目、聖書のクラスはまったくチンプンカンプンでしたが、数学の授業(だいたい高1レベル)はよく先生の言っていることが聞き取れたことを覚えています。

【理由4】自信がつく

洋書を読んでいる、という事実や、ボキャブラリーが増えている、という実感などが英語全体に対する自信につながっていきます。自信を持って英語に触れると、聞き取れる英語の量は増えてきます。
英語に自信がない人は英語に触れたときに一種のパニック状態になってしまい、余計聞き取れない状態へと陥ってしまいます。一度英語に対する自信がついてしまえば、そういう状態に陥りにくくなり、聞き取れるようになり、その事実がまた自信へとつながっていきます。

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まだ他にも細かい理由は考えられますが、主要な理由は以上の4つではないか、と考えています。

これまでの生徒の様子を見た限りでは、早い人では3ヶ月程度、遅い人でも半年くらいでリスニングに関する伸びを感じ始めるようです。そしてその後ゆるやかですが、確実に数年かけてリスニング力は向上し続けます。

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