サイエンスビギナーのためのニューサイエンス講座

Leadership And the New Science: Discovering Order in a Chaotic World (リーダーシップをサイエンスする。WEBキャンパスで4月から読む本”Leadership and the New Science“by Margaret Wheatleyのキーワード、’サイエンス’をたなはしくんから学ぶコーナー。

こんにちは。ソフィー・ジ・アカデミーのともみです。またまた新しいコーナーの始まりです。事の起こりは、今年2月。ソフィーではWEBキャンパスの講義セットを作る前、チームで本を読んでマスターマインディングをしています。今回もみんなでマスターマインディングする前にちょっと読んでみました。

本のタイトルは”Leadership and the New Science“リーダーシップはいいとして、ニューサイエンス?新しい科学? うーん・・・。そして、ななめ読みをしてみると、17世紀の科学?量子力学? 原子? 粒子? と、ものすごい数の「?はてな?」が出てきました。これって理科の教科書じゃなくてビジネス書なんだよね、と一応確認して読み進めました。この本ではリーダーシップ、そして組織というものになんだかこの科学的なものたちがとても関連があるよう。

でも、わたし高校の時、物理赤点だったしなー、などと暗くなりかけているとき、「そうだ!わからなかったら聞けばいいじゃん!」とある人物を思い出したのでした。その人物とは、じゃじゃーん!われらがサイエンス・エース、棚橋くんです。彼は大学で物理学を専攻。こんな専門家が、こんな近くにいたなんて。これはもう聞くしかありません。ということでサイエンスビギナーともみがサイエンスプロフェッショナルたなはしくんに聞くコーナースタートです。

  1. 事の始まり
  2. 科学をトップダウン
  3. 運命の出会い
  4. 実験に意図が反映?
  5. エントロピーは悪者か?
  6. 熱いお湯と冷たい水
  7. 絵の具の話
  8. 混乱と仲良く

その1事の始まり

棚橋くん、ちょっといいかな。

はい、なんですか。

今度のWEBキャンパスの本、あるじゃない。

リーダーシップなんとか、っていうやつですよね。

そうそう。それ読んでみた?

すごいですね。これ。こんな本あるんだ、ってびっくりしましたよ。

あ、やっぱりそうなんだ。やっぱりサイエンス的なことがわかってるとそう思うのかな。

サイエンス的?(笑)うーん、そうですね。オレはすごくおもしろいって思った。それに、オレの卒論のテーマとかまで出ちゃってますもん。

ふーん。そっかー。サイエンス的なところ、よけて読んでても、この本おもしろそうって思ったんだけど、わかったらもっとおもしろいんだろうなー。

あー、わかったら絶対おもしろいと思う。

あの、そのサイエンス的なことって、私でもわかるかな。量子力学とか結構出てくるじゃない。物理とかゼンゼンできなかったんだよねー。高校の時。赤点とか取っちゃってたし。

別に計算するとか、テストするって言うわけじゃないんだからともみさんが知りたいって思ったところを調べたりしてみればいいんじゃないですか。

そっかー。そうだよね。そしたらそのサイエンス的なことを調べてみて、わからないところとかあったら教えてもらえる?

いいですよ。

じゃあ、さっそく調べてみようっと。

その2科学をトップダウン

 

棚橋くん、科学、おもしろいねー。

お、もうなんかわかっちゃいました?

うん。インターネットでいろいろ検索してたらいろんなことがわかったよ。高校の時にわからなかった分、今とっても新鮮なカンジ。

あー、そういう意味でね。やっぱり自分で興味を持ったことを勉強するっていうのが一番ですもんね。

で、まずはトップダウンしたいと思うんだけど。

お、いいですね。科学をトップダウン。

そう。この本のタイトルにもなっている’New Science’なんだけど、’New’ってことは新しいってことだよね。

ですね。

じゃあ、それに対して古い方が’seventeenth-century science’とか’Newtonian science’、っていうやつなのかな。

そうですね。

じゃあ、量子力学とかはNewなわけね。

そうですね。量子力学とか出てきたのは、ここ100年ですから。

あ、それでも100年もたっているんだ。

はい。そのより前のニュートンの、っていう方は「古典物理」って言ってます。

へえー。じゃあまず、古い方。”Leadership〜”の本にも説明があるんだけど、Newじゃない方は、分析、予測とかをするものだと。英語だとanalyze、predictするって書いてある。

そうですね。要は、計算式で表せるかどうか、っていうことなんです。因果関係、つまり、Aの次はB、Bの次はC、というように物事が決まっていくことなんですね。

数学とか理科の公式とかみたいのかな。

そう。公式にあてはめると答えが出る。一定の条件の下では決まった答えが出る、っていうことなんですね。

なるほど。それから、量子力学とはなんぞや、というのを調べてみたんだけど、「電子、原子核などの間の微視的現象をも説明する物理学の理論」って書いてあったのね。ちょっとよくわからないんだけど

古いほうの科学に対して、って考えるとよくわかると思うんですが、それまでの科学はさっき言ったように一定の条件下では必ず同じ値になる、という前提。それに対して量子力学はそうならないっていうことなんです。

“Leadership〜”の本では、量子力学はpredictionつまり予測じゃなくてprobabilityの世界なんだって書いてある。

そう。確率の世界なんですよ。

確率ってことは、予測ができないっていうこと?

そうなんですよ。

じゃあ、私が今まで思ってた「科学」っていうのとはちがうんだー。私が今まで思ってた「科学」っていうのは、古いほうだったなー。学校の理科の実験とか、実験結果が教科書と違うとその実験は正しくないってことになってたからね。

そのたとえ、わかりやすいですね。

学校の数学や理科の授業はNewtonianのほうなんだね。でも、この世の中って、こうなったら必ず・絶対・100%こうなるっていうことのほうが少ないよね。

そう。そうなんですよ。で、さっきともみさんが調べたって言ってた「微視的現象」、とかの話なんですけど、原子とかよりもっと小さい粒子とかって「観察」はできないんですよ。見えないくらいの小ささですから。

そういえば、見たことないね。

でも、その粒子が「ある」、存在しているっていうことはわかるわけです。それは他のものに影響することで、そのものの存在があることがわかるんです。

へーえ。人間関係、みたいだね。あるけど見えない、見えないけど確かにある、みたいな。

そうそう。素粒子とかも、素粒子そのものじゃなくて、素粒子が何かに与えた影響によって観測できたりするんです。

影響かー。おもしろいねー。だんだん、この本の意味するところとつながってきた気がする。

で、しかもそれは古いほうの科学とちがって、AがきたらB、BがきたらC、という結果にはならない。

ふーん。じゃあ、わりと私たちに近いっていうか。あたりまえっていうか。Newっていうけど、新しく起こったことではないんだね。

そうですね。

なんとなくわかってきたぞー。新しい科学と古い科学。棚橋くん、ありがとう。また質問持ってくるのでおねがいします。

はい、わかりました。

その3運命の出会い

この間、ニューサイエンス、量子力学ってこういうものだ、っていうのが大まかにわかったんだけど、今度はもっと細かいところを調べてみたよ。

何を調べてみたんですか?

素粒子について。素粒子とは物質を構成する最小の単位である、って書いてあった。ということは、もうこれ以上小さくできないものなんだよね。

そうですね。でも、もともと素粒子とされていたものよりもさらに小さいものも発見されたりしているんで、厳密に言うと、最小の単位ではなくなってしまっているのもあるんですよね。たとえば、K中間子はクオークっていう素粒子でできていたりしますし。

へー、そうなんだ。じゃあまたこれからさらに技術が進んでいったりすると、新たな素粒子やもっともっと小さい単位が見つかったりするんだろうね。

そうそう。

そういうのが見つかっちゃうってすごいことだね。で、”Leadership〜”の本に「粒子は他のものから独立してできることはない」ってあったんだけど、粒子同士が何か関係性を持っているっていうことなの?

「素粒子の相互作用」っていうのがあるんですけど、えーと、35ページに図があります。英語だとParticle Interation。

あー、これ。ひとつのところからいろんな方向に分かれている感じだね。

‘K meson’ というのはK中間子っていう意味なんですけど、このK中間子という素粒子が、ここではbubble chamberって書いてありますけど、箱のようなもの、そういうものの中を通りぬけるときの図なんですね。

プラスとかマイナスとかが出てるのは?

もともとゼロの電荷から、プラスの電荷とマイナスの電荷を持ったものが生まれてるんです。

プラスとマイナスの電気をやりとりするっていうこと?

そう。それがこの相互作用のときにはナノの速さで行われる。

ナノって、たしか、すっごい小さい値だったよね。

10のマイナス9乗、つまり1億分の1秒の速さです。

一瞬っていうか、それよりずっとずっと短い・・・。

すごい速さでいろんなことが起こってるんですよ。

なんだか、シャーっていう感じでやり取りをしているのね。粒子たちが。でも、私たちにしてみれば、すっごい速さだけど、粒子たちにしてみたらそんなに速くないのかな。そのやり取りって。宇宙の時間と人の時間を比べたりする感覚だと宇宙の時間で考えると人類の歴史など一瞬のことだ、みたいに言うもんね。

そうかもしれませんねー。案外、のんびりなのかもしれない。

粒子同士が、「よっ!どう、調子は?」みたいに日常生活を繰り広げてるのかも。

ははは。で、この図でおもしろいのは、Kという粒子が、この箱のようなものの中に入って、他のものと相互作用することで、別の粒子が何種類も生まれるっていうところなんですよ。

へーえ。そのもの、から生まれるんじゃなくて、関わりを持つことで生まれるんだ。

そう。で、しかもそれがどんどん姿を変えていく、できては消え、できては消えていくので、K中間子が通ったときはこれが生じる可能性があります、とはいえるんだけど、必ずこれとこれが生じますっていうことは言えないんですね。

粒子たちも出会いがあったり、別れがあったりしているということなんだね。しかも出会うものや場所がはじめから決まっていない。運命の出会いなんかもある。人間と同じなんだー。

その4実験に意図が反映?

またなんだかすごいのを見つけたよ。

なんですか?

「量子の世界では、観察者の意図が実験に反映される」ってあった。

あー。観察者の意図。

観察者の意図が実験に反映される、ってどういうことなの?

意図が実験に反映、って意味わかんないですよね。

実験って、観察者の意図とか関係ないでしょ、ふつう。

ニュートン的にはね。

え?

観察者の意図が関係ないっていうのは、古典物理の世界。

だって、実験ってちゃんと測って、だれがどうやってもそうなるっていうことをするもんでしょ。

そうですね。

それが、観察者の意図が反映、なんて言ったら科学じゃないんじゃない。

ねー。そう思いますよね。でも、それは古いほうの科学。

古いほうの科学・・・。

前に古いほうの科学と、ニューサイエンスを比べましたよね。

うん。古いほうは学校の理科でやってきたようなこと、でしょ。

そう。じゃあ、新しいほうは?

私たちに近い科学、だった。

じゃあ、同じ条件で実験するといつも同じ結果になるのは?

ニュートン、古いほう。

ですよね。

あ、なんとなく、ちょっとだけわかってきた気がする。

お、すごい。

その観察者の意図が反映っていうので、なんか具体的な例とかってある?

えーと、そうですねー。よくあるのあるのが、波と粒子の話なんですけど、知ってます?

あ、それどこかに書いてあった。

うん。よく出てくるやつだから。

波がwave、粒子はparticleでしょ。

そう。

物質は粒子と波というふたつの側面からできている、って書いてある。

そう。量子力学の世界では「物質は粒子と波の性質を持っている」というのが前提なんですね。

粒子と波・・・。

そう。粒子と波。

粒子って、つぶつぶした感じ?

あー・・・イメージ的にはそうですね。つぶつぶな感じ。

じゃあ、波は、うねうねしてる感じかな。

そう。うねうね。

オッケー。イメージできた。

その観察者の意図が反映っていうのはですね。

うん。

たとえば、観察者が粒子の性質を調べようとすると、粒子の性質が観察できる。

つぶつぶが観察できるんだ。

そう。つぶつぶが観察できる。でも、今度は波の性質を調べようとすると、あら不思議、波の性質が観察できるんですよ。うねうねが。

えー?うねうねが出てくるの?

そう。うねうねが出てくる。

同じものを観察してるのに?

そう。

つぶつぶを観察しようとしたらつぶつぶ、うねうねを観察しようとしたらうねうねになるの?

そう。

ふーん。

よくわかんないでしょー。

うん。つぶつぶだったらつぶつぶ、うねうねだったら うねうねしか観察できないはずなのにね。

観察者の意図が反映されないんだったら、どちらかの性質しか観察できないはずですけどね。

でも、それは古いほうの科学の視点。

そう。量子の世界では意図が反映されてしまうんですよ。

ふーん。

その5エントロピーは悪者か?

たなはしくん、「エントロピー」って有名?

有名(笑)、ですね。物理では、よく出てきますよ。

エントロピーとは「乱雑さ・無秩序さ・不規則さの度合を表す量である」ってあったんだけど。

厳密にはちがうんですけど、そうとらえるとわかりやすいかな。

エントロピーって、そういえば、ビデオの話を聞いたことがあるよ。

ビデオですか?

繰り返し録画すると画像がどんどん荒くなる、みたいなことだっていう。

うん、そういうこともありますね。エントロピーって常に増加するものなので。

私の中では”悪いやつ”っていうイメージなんだよね、エントロピーって。

なんかごちゃごちゃしていく、悪い現象って感じしますね。

でも、Leadership〜の本ではエントロピーの増加って本当に悪いlことなの?みたいな話が出てくるよね。

エントロピーって、もともとは熱力学の言葉なんですよね。

ネツリキガク?

その6熱いお湯と冷たい水

そう。熱力学。

あんまり聞いたことないなー。

ですよね。

ネツリキガク・・・

熱の移動についての学問ってことなんですけど。

うん。

エントロピーが常に増加するっていうのは、「熱力学の第2法則」っていうんですけどね、

テストに出そうなとこだね。

出ますね(笑)。

ちょっとむずかしい感じになってきた。

でも、これってよく知っている現象なんですよ。

そうなの?

たとえば、熱いお湯と冷たい水を混ぜるのってイメージできますよね。

うん、できる。

そうすると、どうなります?

えーと、ぬるくなる!

そう。ぬるくなる。簡単ですよね。

うん、かんたん。

でも、これって不思議じゃありません?

え?なんで?

「熱いお湯」と「冷たい水」だから混ざるとぬるい水になるってすぐわかりますけど、

うん。

これがもし固体だったら、たとえば熱いやつを赤いかたまり、冷たいのを青いかたまりとする。

うん、うん。

そしたら混ざって別のものになったりします?

しないね。赤は赤、青は青のかたまりのままだね。

でしょー。

だねー。

ところが、これが混ざるっていうのがエントロピー。

その7絵の具の話

あんまり「乱雑」っていう感じがしないけどなー。

そうですね。

むしろならされて、きれいになってる気もする。

そう。だから最終的には平均化されるっていう方がわかりやすいかもしれませんね。

平均化。そっちの方がしっくりくるね。

「乱雑」というのは分子のレベルまでいくとよくわかります。

すっごく小さいところをみるわけね。

そう。分子のレベルまでいくと何が起こってるか、たとえば、そうだなー。ああ、絵の具で考えるとわかりやすいかな。

絵の具?

2つの色を混ぜるとどうなります?

ぐちゃぐちゃになる!

エントロピーがどんどん増加していきますよね。

するねー。

でも、それをずっと混ぜていくと?

すっごくまぜると違う色になる!

そう。そのぐちゃぐちゃを想像すると、「乱雑」なのがわかりますよね。

でも、最後には平均化されてる。

そう。平均化されて新しい色ができる。

きたないどころか、新しいものが生まれてる。

生まれますねー。

この本で言ってるDisorderからOrderが生まれるっていうことだね。

カオスとか混乱の中から秩序が生まれる、みたいな。

エントロピーって、クリエイティブなんだね。

その8混乱と仲良く

ストレンジ・アトラクターのところって読みました?

ストレンジ・アトラクター?

えーと、117ぺージに図があるやつです。

あー。2次元ではぐちゃぐちゃに見えるのに、3次元で見るとパターンが見えてくる、ってやつだね。

そうそう。俯瞰(ふかん)して見ると、っていう感じの。

うんうん。で、なんでそこが気になったの?

この「違う次元で見てみる」っていうことを知って、仕事をするのがすごく楽になったんですよ。

どうして?

たとえば、物事につまったときとか、うまくいかないなっていうときにそれを何とかコントロールしようとして、イライラしていたんですけど、

ニュートン的発想だね。

そう。

じゃあ、ストレンジ・アトラクターを知ってからは?

「もうひとつ上の次元で見てみよう」って思うんですよ。

なるほど。

そうすると、もっと大きな視野で見られるから、「大変だ」「問題だ」って思ってたことがたいしたことじゃないな、って思えたり。

ふーん。

「これを別の次元から見ると、どんな形が見えるんだろう?」「上の次元から見ると、どんな意味が現れるだろう?」って考えられるようになったり。

へえー。

だから、混乱が怖くなくなりました。

それはすごいね。

今まではカオスな状態とかっていやだなー、なるべく避けて通りたいなって思ってましたけど。

普通はそうだよね。

一見するとネガティブなことだけど、実は大切なこと、意味があることなんだってわかると・・・。

逆にウエルカムって感じになるね!

そうそう。

うんうん。

だからこれからはカオスを避けるんじゃなくむしろ意識して起こすっていうことも大切かも。

すごい!

でしょ!?

それって、新しい時代に求められているリーダーのあり方なのかもね。

そうですね。混乱をコントロールする、のではなく、混乱と仲良くなる、というリーダーですね。

うん。そういうのワクワクするね。そういう人になりたいね。

そうですねー!!