“Made to Stick” をいっしょに読もう!

eri-watanabeソフィー・ジ・アカデミー恵比寿校講師の渡辺絵梨と一緒にソフィーの人気洋書テキストのひとつ”Made to Stick”を読んでいくブログです。「人の心に残る文章やメッセージを作る方法」を身に付けられるこの名著を一緒に読みながら出来る範囲で実践していきましょう!

2008/10/8(水)スタート!です

Made to Stick: Why Some Ideas Survive and Others Die本の副題となっている、このフレーズ。

Why Some Ideas Survive and Others Die

学長の紹介文にもある通り、「コーラを飲むと骨が溶ける」「万里の長城は宇宙からも見える」といった事は本当によく覚えてます。というか、忘れたくても忘れられません(笑)なのに、覚えておきたい大事な事は忘れてしまう。相手にも忘れられてしまう。

この違いって何なんでしょう?言われてみれば、とっても気になります。この本を読み終わる頃には、その違いを理解して、自分自身も使えるようになっていると思うと、とてもワクワクします☆楽しみながら読んでいきましょう!

2008/10/9(木)著者の会社は何をしているの?(1)

もう、読み始めると、出だしからとっても面白くて、どんどん読んでしまいます。1つ1つのStoryに、「おー!w(°o°)w」とか、「なるほどーφ(・_・ )」とか、思わず声を出してしまうほどです。(笑)そして、読み進めていたら、10ページに作者のバックグラウンドが書かれていたので調べてみることにしました。

まずは、Made to Stickのサイトを見つけました。そもそも、この本の著者は兄弟なんですよね。日本の本だと、あんまり兄弟とか夫婦で書いてるって馴染みが無い気がします。そして、特に興味が惹かれたのは、上のサイトにも載っていますが、Dan Heathさんの会社、Think Well(next-generation” textbookを作っているんだそうです)。このページ、とっても面白いんです!それは・・・

2008/10/10(金)著者の会社は何をしているの?(2)

それは、トップページから、各分野の先生の講義がビデオで見られるんですが、これが面白いんです!!色々ありましたが、私は、特にCalculusの講義に感動しました。(左の方のMathmaticsの中にあります。)関数について、とーーーっても面白く話してくれてるんです。今まで、関数のことをこんな風に聞いたこと無かった!教えてくれる先生自身も、「ほんと面白いんだよ!」とエネルギーで、とってもエキサイティングに教えてくれているんです。

こういう授業を聞いていたら、もっともっと数学に興味を持っていたかも!というか、今からでも、数学が楽しめるような気がする!と、一人興奮しちゃいました。(笑)ぜひ見てみて欲しいのですが、この講義も、「Made to Stick」に書いてあることが生かされている、とてもStickyな内容になっていると感じました!そして、自分もこんな風に、伝えられるようになれるのかも?!と、とても楽しみになりました!

2008/10/11(土)兄弟が共著するに至った経緯

そして、続けて12ページまで、Heath兄弟がこの本を共著するに至った経緯が書かれていました。同じテーマを違う方面から研究していたことに気づいた二人。都市伝説やことわざ、物語などを研究していたresearcherであり、teacherであるChip。教材や、政策などを研究していた、practionerであり、writerであるDan。この二人が、力を合わせることにしたわけです。

There is no “formula” for a sticky ideas・・・But sticky ideas do draw from a common set of traits, which make them more likely to succeed.(15ページ)

StickyなIdeaを作る”formula”はないけれど、それらのIdeaは、いくつかの特徴から作り出されている。本当に色んな分野から研究した結果、この事が分かったわけですね。だからこそ、凝縮されたエッセンスが抽出されていて、濃い内容になっているんですね。さて、では、その特徴って何なんでしょう?次のページに書かれているようです!

2008/10/12(日)記憶に残るメッセージの特徴とは?

人々の記憶に残るメッセージには6つの特徴があるようです。13ページに書かれていますね。それから、この部分は、ネット上でも見ることができます(ずーっと下の方の、PRINCIPLE1〜6です)。いやー、とってもシンプルですね。Principle3のこの説明や、

because our brains are wired to remember concrete date.(17ページ)

Principle6のこの説明。

mentally rehearsing a situation helps us perform better when we encounter that situation in the physical environment. (18ページ)

なんか聞いたことがありませんか?WEBキャンパスを以前から続けている方は、ピン!と来たかもしれません。brainとか、wiredとか、mental rehearseとか。これらは以前扱った、「Evolve Your Brain」にも出てきた言葉でした。今回の本は、”記憶に残る”というテーマだけあって、以前学んだ脳の特徴や性質を復習したり、思い起こしながら読み進めると、より理解が進むと思います!

2008/10/13(月)特徴の説明文に隠された秘密とは?

昨日紹介した6つの特徴。それぞれの特徴を読むだけでも、そうなのか!と気づきがあります。ですが、それに加えて、この1つ1つの共通点を紹介する文章、すごいと思いませんか??とても短くて、でも要点を得ている。分かりやすい。そして、興味をそそられる。でも、なぜ興味を惹かれるんでしょう?

ちょっと、改めて、全部の説明文を見渡してみてください。何か気づきませんか?ヒントは、冒頭の文!気づきましたよね!そうなんです。この特徴を説明する文ですが、どの文章も疑問文から始まっているんです。この疑問文で始まることで、読み手は惹きつけられるんだと思うんです。

では、なぜ、こう書かれると惹きつけられるのか?その答えは、本の80ページ辺りを読むときっと分かると思います。ぜひ読んでみてください!

2008/10/16(木)言葉が多くなってしまうアナタに(1)

この事を伝えたい!なんとか分かってほしい!という気持ちが強いばかりに、言葉が多くなってしまったり、言い過ぎてしまったり・・・。そうしているうちにふと気づくと、相手の顔や、頭に「?」がいっぱい。その相手の様子を見て、さらに言葉を加えてしまったりしてかえって逆効果。あとで振り返って反省・・・。そんなことはありませんか?私は、よくやってしまいます。

そして、もしあなたがそうならば、ぜひ読んで欲しいのが、Chapter1の”Simple”。とてもインパクトがあります。

If we’re to succeed, the first step is this:Be simple.(27ページ)

最初のステップは、Simple!耳が痛いです。(笑)けれど、ここで分かった気になってはいけません。ただ、Simpleにすればいいわけではないのです。どういうことでしょう?

2008/10/17(金)言葉が多くなってしまうアナタに(2)

ただ、Simpleにすればいいわけではない。それは一体、どういうことなのでしょう?続けて書いてありました。

What we mean by “simple” is finding the core of the idea. (27ページ)

Simpleとは、ただ短いだけでなく、Coreを見つけるということ。なるほど。言葉が多くなってしまったり、長くなってしまうのは、短くできないだけでなくCoreを分かっていない、掴めていない、ということでもあるのかもしれない。それって、伝えたいことの核がないことになる。だから、相手に伝わらないのか!

言われてみれば当り前のことだけど、これが一番難しくて、だからこそ一番時間をかけるべきところなのでしょう。では、Coreを見つけるにはどうしたらいいんでしょう?そのヒントが次のページに書いてありました!

2008/10/18(土)言葉が多くなってしまうアナタに(3)

次のページには、こう書かれていました。

To get the core, we’ve got to weed out superfluous and tangential elements. But that’s the easy part. (28ページ)

雑草を取り除くように、料理で灰汁とりをするように余計なもの、本題と離れたものを取り除く。なるほど!でも、これはまだ簡単な作業とのこと。

The hard part is weeding out ideas that may be really important but just aren’t the most important idea. (28ページ)

もっと手がかかる作業は、とても重要だけど、一番重要でないものを取り除く、という作業。わー、これは難しそう!けれど、これが出来たら、本当の本当のCoreだけが残るのでしょう。こうも書いてありました。

“A designer knows he has achieved perfection not when there is nothing left to add, but wen there is nothing left to take away.” (28ページ)

あるデザイナーが、完璧だと思うとき。それは、もう加えるものがない時ではなく、もう何一つ取り除くものがない、と思えた時。取り除いて、取り除いて、もうこれ以上取り除けない・・・。それこそがCoreであり、完璧な状態。そして、それを会社単位でやってのけてしまった会社の話が続けて書かれていました。ソフィーでは、その話を参考にあることを決めました。つづきは次回に。

2008/10/26(日)サウスウエスト航空のCoreとは?(1)

Coreを見つけ、それを徹底している会社として紹介されていたのは、Southwest Airelineでした。本では28ページのFinding the Core at Southwest Airelinesの部分です。この航空会社は有名なので、ご存知の方も多いかもしれません。会社について詳しくはこちらをどうぞ。*サウスウエスト航空、*Wikipedia

この会社のCoreは一体何なのか?それがあるからこそ、何をして、何をしないのかがはっきりしている。そういうCoreのことです。ホームページのトップにもしっかりと書かれていますが、何だと思います??(つづく)

2008/10/27(月)サウスウエスト航空のCoreとは?(2)

サウスウエスト航空のCore。ホームページにも本にもしっかりと書かれています。それは、”THE low-fare aireline” ということ。HPにも出ていますが、そのためにも、機内食はナッツしか出しません。けれど、もっとすごいことは、それが徹底されているということです。次の29ページには、その徹底ぶりが伝わってくるあるストーリーが書かれています。それは、こういう話です。

社長が言うには、この会社を運営していくのには、たった一つのことを知っていればいい。それは、サウスウエスト航空は、”THE low-fare aireline” だ、ということ。そうすれば、どんな決断だってできる。例えば、従業員の一人が顧客サービスを向上しようと思って、流行のチキンシーザーサラダを提供したい。というアイディアを持ってきたとき、どういう決断を下すか?そういう時は、こう問いかけてみればいい。「このシーザーサラダを提供することは、私たちを”THE low-fare aireline”でいさせるか?」そして、その答えがNoなら、シーザーサラダは出さない。

!!!びっくりですよね・・・顧客満足より何より、”THE low-fare aireline”!!!こんなことって考えられます??*実は、なぜこんなにもインパクトがあるのかはCoreだから、というだけではありません。これについては、72ページ辺りを読むと分かるので、ぜひ読んでみてください!(つづく)

2008/10/28(火)ソフィーのCoreを決定!

そして、ソフィーでは、このサウスウエスト航空を倣って、あることを決めました。Webキャンパスの前回の本、「The Art of the Start」ではソフィーのマントラを考えました。詳しくはこちら。【ソフィーのマントラって?】①〜⑦そして、今回は、ソフィーのマントラを再確認し、更にソフィーのCoreを決めたのです。

マントラは、Joy of Learning!そして、Coreも、Joy of Learningになりました!!

ソフィーでは、どんなことよりもJoy of Learningが大事!そうです、他のどんなことよりも、です。Joy of Learningが第一優先なのです。このことが決まって数週間経ちますが、とてもすっきりとした感じがしています。自分自身のみならずチームで仕事を進める上でも、クラスを運営するときも、どんなときでも、この”Joy of Learning”を一番に考えればいいのですから!

Coreを決める。これはとてもパワフルです。ご自身で会社を経営されていたり、チームでプロジェクトを進めていたり、あるいは、新しく何かを始める方など、ぜひ考えてみるといいと思います!

2008/10/31(金)もう1つのソフィーのAction

さて、もう1つ、ソフィーではActionを起こしたことがあります。それは、10月1日に、ソフィー英語大学のスタッフ呼称を変更したことです。10月に入ってから、しばらくの間、ホームページでもお知らせしていました。実は、この変更の裏側には、この本「Made to Stick」からの学びがありました。さて、どの部分からの学びか分かります??

ふふふ。ピン!と来た方もいるかもしれませんね。それは、Disneyを例にとって説明している箇所です。Disneyといえば、最近電車に乗っていると、よく求人広告を見かけます。この求人広告からもディズニーランドのコンセプトがうかがえます。(つづく)

2008/11/1(土)ディズニーに学べることとは?(1)

本の箇所でいうと、60〜61ページ辺りのGenerative
Analogies。この部分に書かれています。どういうことかというと、多くの方もご存知かもしれませんが、Disneyは従業員のことを”cast members”と呼びます。昨日紹介したHPもそうなってますね。つまり、ディズニーランド → “theater”だから、従業員 → “cast members”、お客様 → “guest” となるわけなのです。

この部分で言いたいことは、そこから色んなコンセプトが生まれるような、いわば細部に命を吹き込むような「例え」。そんな「例え」を使うことで組織内でコミュニケーションがスムーズになり、細かなことがおのずと決まってくる、というのです。では、この「例え」は、ディズニーにどんなものをもたらしたのでしょう?(つづく)

2008/11/2(日)ディズニーに学べることとは?(2)

本にも書かれていますが、実際、Disneyでは、cast memberには、job interviewはしません。オーディションをするのです。また、cast memberはパーク内にいるときは、オンステージ、ということになります。さらに、仕事はパフォーマンスであり、ユニフォームはコスチューム、となります。色んなことがくっきりとしてきますね。

それから、先日、テレビ番組「ガイアの夜明け」でも、ディズニーが取り上げられていました。この中でも紹介されてましたが、従業員教育時にキャストに配られる冊子は、ゲストを感動させる”魔法のコツ”。表紙には「マニュアル」なんて書いてありませんでした。さすがです!それにしても、すごいですね〜!こうしたGenerative Analogiesを使うことで、本当に細かな部分まで、どんどんとコンセプトが決まってきます。(つづく)

2008/11/3(月)ソフィーでも行動しました!

そして、ソフィーでもこの部分から学び、10/31に紹介した
actionを取ったのです。これまで、ソフィー英語大学では、スタッフのことを「ファシリテーター」という風に呼んでいました。けれど「大学」という事を考えると、ファシリテーターは、Analogyということで考えてみても、チグハグな感じがします。そこで、スタッフの呼称を変更したのです。「大学」というと、教授、講師などの方が、とても馴染みます。

また、同じときにターム制も導入しました。タームとは学期のこと。多くの大学には、前期・後期などの学期があることから、これもしっくりきます。全ては「大学」という言葉から広がっていることから、この例えがGenerativeなんだなぁ、と改めて感じます。プロジェクトのコンセプトや働く際の立ち位置などがいまいち明確でない場合はこのGenerative Analogiesをぜひ考えてみるといいと思います!

2008/11/9(日)Unexpectedな要素を取り入れるには?

Chapter2は「Unexpected」。人の注意を惹きつけるために、予想外のことをして、ん??と思わせたり、あっと言わせたり、ドキッとさせたり。一口に言ってしまうと簡単そうに聞こえるけど、これが実は難しい!そう思いませんか??

この1つの例として、63〜64ページには、あるフライトアテンダントの話が載っています。通常、飛行機に搭乗すると、離陸前に非常時の経路や、安全器具の説明などのアナウンスがあります。でも、正直言って、あれってちゃんと聞いてる人っていないですよね(笑)ここに載っているフライトアテンダントの方は、いつもの調子をちょっと変えて、とってもユニークなアナウンスにしたんです。すると、乗客がちゃんと聞いてくれただけでなく、終わると同時に拍手まであがったんです。考えられないことですよね!

Nuts!アナウンスの内容は、大人なジョークも混ざってとても面白いものになってるので、良かったらこの辺りを読んでみてください。こんな風に言ってみたい!と思わされます。さらに、この話の引用元の本が263ページに紹介されています。それはこちら。「Nuts! Southwest Airlines’ Crazy Recipe forBusiness and Personal Success」中身検索で見てみると、客席頭上の荷物入れから、なんと乗務員が顔を出しています!タイトル通り、Crazy!そして、Unexpected!!

Crazy!と言われたり、妄想のようなことをしてみると、このUnexpectedという要素を、自分が伝えたいメッセージに取り入れられるかも!と思ったのでした。

2008/11/10(月)Unexpectedのポイント=S○○p○○s○

Unexpectedの前半のテーマは、GETTING PEOPLE’S ATTENTION。まずは人の注意を引く、ということ。昨日のフライトアテンダントの例の他にも色んなエピソードを交えながら説明が進みますが、私はこれらに共通した1番のポイントは”Surprise”だと思いました。68〜69ページ辺りに、”The Surprise Brow”というタイトルで詳しく書かれてます。68ページの上から8行目。

the surprise brow is our body’s way offorcing us to see more.

081110surprise browってこんな感じでしょうか?↓(お恥ずかしながら、絵を描いてみました(笑))驚いたときって、この絵みたいに目の上の皮膚が引き上げられて目が大きくなる。目が大きくなるということは、つまり、私たちはその対象をもっと見ようとするんです。身体って正直ですね〜!意志を表してくれています。(つづく)

2008/11/11(火)私はこうやって”Surprise”を行動に移します!

確かに、こういう表情のとき、「えっ、なになに??」「どういうことなの?」「何が起こってるの?」みたいな言葉が自分の中に起こってきます。

Surprise makes us want to find an answer―to resolve the question of why we were surprised―and big surprises call for big answers.(69ページ5行目〜)

つまり、私たちは驚いたとき、なぜ驚いたのか、その理由を知りたくなるし、驚きが大きければ大きいほど、それに見合った大きさの答えを知りたくなる!というわけなのです。そして、この”驚かす”ことって、実は結構やってるんじゃないかな、って思うんです。例えば、何かプレゼントをするときや、誰かをお祝いするときなど。驚きながらも喜ぶ相手の顔が見たくて、びっくりさせちゃおう!とか、相手の読みをはずすように色々企んだりしますよね〜(笑)

だから、メッセージを伝えるときや、人に向けて文章を書くときにも、聞き手の驚く表情をイメージしながら準備すると、このUnexpectedを達成できるんじゃないか、と思ったんです。まずは相手の驚く表情を思い浮かべながら準備を進める。私自身も、プレゼンをしたり、メールなどでメッセージを書くときに意識してみたいと思います。また、気づいたことがあったらシェアさせていただきますね。お楽しみに♪

2008/11/12(水)人の注意を引き続けるものとは?

Unexpectedの後半のテーマは、KEEPING PEOPLE’S ATTENTION。人の注意を注意を惹きつけたら、次はそれをKeepしていく。そうですよね〜つかみも大事だけど、それだけで終わってしまったら意味がない。そして、ここでポイントになるのが”Mystery”だと著者は言っています。

確かに、ミステリードラマやミステリー小説とかって、読み始めると結末が気になって気になって、夜更かしして最後まで読んじゃったりしちゃいますよね。テレビの番組表を見渡してみても、ミステリーものの番組は必ずありますし、最近では歴史番組もミステリー仕立てになっていたりします。こういったことからも、ミステリーがどれだけ人を引きつけるのかがよく現れているように思います。本の中では、詳しくは80〜82ページの”The Mystery of the Rings”に書かれているのでぜひ読んでみてください。

2008/11/13(木)ミステリーはなぜ人を惹きつけるのか?

前回書いたように、人の注意を引き続けるポイントは、”Mystery”にあります。でも、どうして、ミステリーは人を引きつけ続けるのでしょう?その答えは、続きの部分に書いてありました。ミステリーが人を引きつけ続けるのは、人の好奇心を刺激するからなんです。次は何が起こるんだろう?どうなるんだろう?結末は何なんだろう?ミステリーというのは、そのプロセスの間中、好奇心を掻き立て、その人の中に次々と質問を起こさせます。だから、人は引きつけ続けられるのです。

When we want to know something but don’t,it’s like having an itch that we need to scratch.(84ページ下から7行目〜)

知りたいのに分からない、っていうのは、痒い所に手が届かないのとよく似ている。うわっ!何とかして掻こうともがく姿が目に浮かびます(笑)しかも、そんなんじゃ気になって気になって、他のことが手につかないですよね!好奇心の力、恐るべしです。その様子が違う表現でも説明されてます。

We sit patiently through bad movies,even though they may be painful to watch,because it’s too painful not to know they end.(84ページ下から5行目〜)

私たちは、面白くない映画でさえ、そのまま見続けることよりも、結末を知らないことの方が耐えられないから、見続けてしまう。!!!!!びっくりしました。本当に、好奇心の力って強いんですね!

2008/11/14(金)Unexpectedかどうか判断するヒント

このChapterの中で、ちょっと面白い表現を見つけました。それは、こちら。

spoon-feed「単純化して教える」

86〜87ページのCLINICの部分です。映画館を運営する会社で資金調達部マネージャーを務めるアナタ。寄附金集めに奔走して向かえた年度末。アナタは取締役に向けて、今年度の調達状況をプレゼンすることになった、という設定でメッセージを考えてみる、というものです。ここには2つのメッセージが書かれています。2つとも内容は同じですが、文章は全く違います。

そして、そのうち1つ目はUnexpectedを意識せずに書かれたごく一般的なメッセージになっています。一部を紹介するとこんな感じ。

私たちは、今年は35歳以下の人をターゲットにしました。私たちのゴールは、若い方からの寄付を増やすことです。若い方々は、寄贈者の中の割合は低いものの、観客全体で見るとその割合は高くなっています。

うするために私たちは電話を使って・・・・(以下省略)

この一般的であまり惹きつけられないメッセージを表すために使われていたのが、この”spoon-feed”
という表現です。

I’ve put the facts in a logical order and I will spoon-feed them to you. As a presentation format, it’s a safe and normal and thoroughly nonsticky. (86ページ下から10行目)

よく陥りがちなパターンですが、事実を淡々と説明するだけでは、何の面白みもなく相手の注意を引くこともありません。ただ、事実だけを単純化して教えてしまっているからなのです。これは、プレゼンのフォーマットとしては、とても安全で標準的だけれど、Stickyなものではなくなってしまっているんです。何だか耳が痛いですね。(笑)

“spoon-feed”には、子どもなどに食べ物を「さじで食べさせる」という意味もあるようです。食べやすく、細かくしたものを、口元まで持っていってあげる。そんな雰囲気でしょうか。とても親切で安全な感じはしますね。ただ、Unexpectedとは全く違う印象です。

この印象をよく感じられたら、ぜひもう1つの方のメッセージを読んでみてください。そして、そこから受ける感じと比較してみてください。自分の作ったメッセージがUnexpectedかどうか判断する上でのよいものさしを得られると思います。

2008/11/24(月)具体的であることの良い点とは?

Chapter3では、原則の一つ、”CONCRETE”を紹介しています。「具体的」ということですが、でも、なぜ具体的だといいのでしょう?なぜだと思いますか?このことを考えるにあたって、まずは、「具体的」の反対は何なのか?と考えてみます。本の中にも出てきていますが、「具体的」の反対語は”abstract”。つまり「抽象的」ということになります。

そもそも「抽象的」って何だ?という感じですが、調べていたらこんなものを見つけました。
恥ずかしながら「抽象的」という言葉がよくわかりません。
この質問の文章がまさに「抽象的」ということを表していて面白いなぁ〜、と思ったので載せてみます。

「抽象的」という言葉の意味をわかりやすく具体的に教えてください!「抽象的」という言葉が、すでに抽象的なんですね。(笑)・・・と、話がずれましたが、抽象的ではなく、「具体的」だとなぜいいのか?それは本に書かれてました。

Abstraction makes it harder to understand an idea and to remember it. It also makes it harder to coordinate our activities with others, who may interpret the abstraction in very different ways. Concretenesshelps us avoid these problems. (100ページ9行目)

抽象的だと、人によって違う解釈をしてしまったりして、間違えてしまうことがある。でも、「具体的」だとそれを避けることができる。だからいいんですね。そういえば、子どもの頃に習った、交通教室でのこともそうなのかなぁ〜、とふと思い出しました。こんなことって言われませんでした?「道を渡るときは、右見て、左見て、もう1回右を見ましょう。」要するによく確認しましょう、ということだけど、それだと抽象的ですよね。でも、こう言われると、小さな子どもでも間違えようがない。つまり具体的なんですよね。それにしても、未だに覚えてるということは、このメッセージはStickyなんでしょうかね?いや、何度も繰り返し言われたからかな(笑)

2008/11/25(火)「具体的」を一言で説明すると?

「具体的」だと間違えようがない。だから、大事ということが分かりました。でも、この「具体的」ってどういうことなんでしょう?「具体的」であることの例が、104ページに書かれています。

“World-class customer service” is abstarct.A Nordie ironing a customer’s shirt is concrete. (104ページ)

アメリカにNordstormという百貨店があります。この百貨店は、その感動的なサービスでとても有名なんです(Wikipedia)。たくさんあるエピソードのうち、一つがここで挙げられています。ある日、訪れたビジネスマンが、午後からのミーティングのためにYシャツが必要だと言います。そうすると、Nordstormの従業員は、なんと、そのお客様のために、包装してあるYシャツを取り出し、アイロンをかけて渡したのです。

このエピソードを知ると、Nordstromの”World-class customer service”が具体的になって伝わってきますよね。”World-class customer service”は抽象的ですが、このエピソードはとても「具体的」です。「具体的」ってどういうことなのか、なんとなく分かってきました。では、もう少し突っ込んで、「具体的」とはつまりどういうことなのか?

concreteness boils down to specific people doing specific things.(104ページ)

ここで著者が言っているのは、「具体的」とは、要するに、ある特定の人が特定のことをする、ということなのです。これは頭に入れておいて、メッセージを具体的にするときのヒントにしたいと思いました。

【おまけ】
今回取り上げたNordstromのエピソードは、本の73〜75ページにも書かれていますので、ぜひ読んでみてください。その常識を超えたサービスには、本当に感動しますよ!

2008/11/26(水)具体的だと、なぜ記憶に残るのか?

「具体的」ということについて、色々と理解が深まってきました。けれど、さらに大事なポイントがあります。それは・・・なぜ具体的だとStickyなのか?ということです。とっても重要ですね。なぜなんでしょう?その答えは、どうやらVelcroにあるようです。

Memory, then, is not like a single filing cabinet.It is more like Velcro. (110ページ下から3行目)

??って感じですね。笑Velcroってご存知ですか?これです。いわゆるマジックテープです。

If you look at the two sides of Velcro material, you’ll see that one is covered with thousands of tiny hooksand the ather is covered with thousands of tiny loops.(110ページ下から2行目)

ベルクロテープは、それぞれの表面にたくさんのフックがあります。だから、お互いにしっかりくっつきます。そして、私たちの記憶も同じだというんです。

Your brain hosts a truly staggering number of loops.The more hooks an idea has, the better it will cling to memory.

私たちの脳の中にも、たくさんの記憶のフックがあります。だから、メッセージもフックを沢山持っていれば、私たちの脳の中にとどまりやすくなる、というわけなんです。なるほど、なるほど!そして、このフックを多くするには、「具体的」にする、というわけなのです。

11/25に紹介した
Nordstormの話もそうでした。エピソードはイメージや感覚など沢山の要素がフックとなるので、記憶にとどまりやすくなるのです。そして、この私たちの記憶のフックについて体感させてくれるテストが、109〜110ページにかけて載っているので、ぜひ読んでみてください。ここで読んだことが、さらに腑に落ちるのではないかと思います。

2008/11/29(土)メッセージを具体的にするには?

「具体的なメッセージ」が効果的であることが大分分かってきました。では、どうやってメッセージを具体的にしたらいいのでしょうか?沢山の例が挙げられている中に、頻繁に登場するフレーズを発見しました。これは、きっと、メッセージを具体的にするヒントになるのではないか、と思います。そのフレーズはこちらです。

“put oneself into someone’s shoes”「(人)の立場に立って考える」

126〜128ページに、若手の女性新任マネージャーが自社商品の売上を挽回するべく奮闘するストーリーが載っています。その商品とは、レトルト調理品のハンバーガーヘルパーという商品です。*余談ですが、ハンバーガーとは挽肉のこと。 なので、この商品は挽肉を混ぜ合わせて作るレトルト調理品なんです。 私は最初聞いたとき、 ファーストフードのハンバーガーが頭に浮かんで混乱しました。(笑)

新任マネージャーのメリッサは、それまでとは違った新しい試みをします。さて、一体どんなものだと思います?ヒントは、冒頭に紹介したこのフレーズが関係しています。

彼女は、実際に商品を使っている家庭に訪れて、消費者がどんな風に使っているのか、自分たちの目で確かめるという試みをしたんです。この体験は、メリッサにとても大きなインパクトを与えました。「消費者の立場に立って考える」ということを身をもって体験することができたからです。(詳しくはこの辺りを読んでみてくださいね。)

この体験は、商品開発へと生かされ、翌年には売上は飛躍的に伸びました。すごいことですよね!そして、メリッサは決断に困ると、この体験を思い出すようにしているんだそうです。

I wonder what they would do if they were in my shoes. (128ページ11行目)

そして、消費者が自分の立場だったら、どうするかを考えるんだそうです。ここで、大事なのは、”put oneself into someone’s shoes”「(人)の立場に立って考える」ということなのです。

今、発信しようとしているメッセージの受け手はどんな人なのか?そして、相手の立場に立ってみたら、どう聞こえるだろうか?分かりやすいだろうか?どう言って欲しいだろうか?こう考えてみると、メッセージをより具体的にできるのではないかと思います。

2008/12/1(月)メッセージの信用性を高めるには?(1)

Chapter4では、メッセージを効果的にするポイント、”Credible”について書かれています。どうしたら、人はメッセージを信用するのか?例えば、あなたはどんな時に人から聞いたことを信じますか?ちょっと考えてみてください。

きっと、色んな要素があるでしょう。この本の中にも、様々な例が挙げられていますが、その中の1つを挙げてみたいと思います。135〜137ページに、タバコ反対の広告に出演したPam Laffinという女性のことが書かれています。そのコマーシャルがこれです。ちょっと見てみてください。

動画の最後に出てくるサイトにも彼女のことが載っています。どんな感じがしましたか?私は、言葉でなかなか言い表せないけれど、「ドーン」とハートにきた感じがしました。うわっ、タバコって本当にここまでの影響を与えるんだ・・・。ヤバイ!信じる、信じないとかは、一瞬にして頭から消えてましたね。さて、彼女は一体どういう存在だったのでしょう?(つづく)

2008/12/2(火)メッセージの信用性を高めるには?(2)

さて、彼女は一体どういう存在だったのでしょう?それを表している1つの言葉を紹介したいと思います。それはこの言葉です。

“living proof”「生きた証拠」 (136ページ下から12行目)

タバコがどれほどの害を及ぼすのか、続けることでどんな未来が待ち受けているのか。いくら言葉で伝えても効果がなかったり、「分かってるんだけどね〜・・・」なんて言葉が返ってきたりしますよね。そんな時、MDPHという会社でタバコ反対の広告を作っていた責任者は、Pam Laffinの存在を知りました。いわばタバコの犠牲者となった彼女をコマーシャルに起用したのです。その反響はとても大きなものだったようです。ここでポイントになるのが冒頭に紹介した言葉です。

彼女は、タバコの害を受けた生ける証拠だったのです。彼女の人生の物語と、彼女が写った映像。もうそれは動かしようのない事実。人々に信じてもらうには充分すぎるほどのメッセージだったのです。Pam Laffinの話にとどまらず、130〜132に紹介されているストーリーにもこのエッセンスは存在しています。

自分が伝えたいメッセージを体現している人はいないだろうか?すでに誰かの体験を通して結果が出ているものはないか?それらをメッセージの中に織り込めないか?こうした質問を自分にしてみてもいいと思います。”living proof”という言葉を心に留めておくことで、メッセージの信用性を高めるヒントがきっと得られると思います。

2008/12/4(木)統計の効果的な使い方(1)

メッセージの信用性を高めるもう1つの方法に、データや統計を使う、というものがあります。けれど、数字をそのまま使ったからといって、人々の信用は得られません。では、データや統計はどう使ったらいいのでしょう?ここで、本の中の一つの例を紹介したいと思います。

“Beyond War”という運動をご存知ですか?闘争や衝突を解決するために、戦争をするのでなく、新しい道を探ろうという運動です。http://beyondwar.org/ 彼らは、1980年代に、運動の1つとして、アメリカとソビエトとの間の軍備競争に警鐘を鳴らす活動を始めました。

When we see a child running with scissors, we since.We shout at her to stop. Yet when we read newspaper articles aboutnuclear weapons―which have the power to destroy millions of children―it provokes, at best, only a moment of dismay. (141ページ下から9行目)

私たちは、子どもがハサミを持って走ってると、やめさせようと叫ぶけれど、核兵器のことが新聞に載っていても、よくて一瞬不安になるだけだ。それは何百万もの子どもを殺す力を持っているのに。確かにそうですね。

最近でも、核兵器のことがニュースで流れても、いやだな・・・とは思っても、声を荒げて「止めさせるべきだ!!」なんて行動に出る人はほとんどいないと思います。けれど、この時点で、アメリカとソビエト両方の核兵器を合わせると、世界を何度でも破壊できるほどになっていたのです。だから、”Beyond War”では、より多くの人の関心を集め、この問題を解決するにはどうしたらいいか??と考え始めたのです。さて、一体どういうことをしたのでしょう?

2008/12/5(金)統計の効果的な使い方(2)

彼らは、考え抜いた挙句、この問題を人々に伝えるためにデモンストレーションをすることにしました。そのデモンストレーションがこれです。いかがでしたか?内容をちょっと解説しますね。*本の説明とはちょっと違いますが、映像の方の説明をしました。

最初のBB1つは、広島に落とされた原爆の威力の15倍に値します。次の6つのBBは、第二次大戦の6年間で広島・長崎を含めて落とされた原爆の威力。そして、最後は、アメリカにある核兵器全てを合わせた威力・・・。彼らは、核兵器の数とその威力を、BB弾をバケツに落として表現したのです。

もし良かったら、もう一度さっきの映像を見てみてください。私は、とってもびっくりしましたし、そんなに酷い状況なんだ!と身体で分かった感じがしました。そして、このデモンストレーションは、実際、人々に大きな影響を与えていきました。彼らは統計を使いました。けれど、その使い方に大きなポイントがあったのです。さて、それはなんだったのでしょう?

2008/12/6(土)統計の効果的な使い方(3)

彼らの統計の使い方は、一体どんな点が良かったのでしょう?いくつかあるのですが、ポイントとなる点について書かれている文章がありました。

The point was to hit people in the gut with realization thatthis was a problem that was out of control. (143ページ下から14行目)

ポイントは、これは問題だ!と人々の”gut”に訴えたことだったのです。”gut”は「内臓・腹」などの意味があります。頭や心よりもっと深い部分、まるでミゾオチにパンチを食らわせるようなレベルで訴えることができた、ということなのです。この世にある核兵器の総数は5000個だよ、なんて言われても、人々にはその数は小さく感じられてしまうし、増してや威力もよく分かりません。けれど、広島の原爆の映像と、BB弾を使うことで、その威力を”gut”レベルに訴えていくことができたのです。

Statstics will, and should, almost always be used to illustrate a relationship.It’s more important for people to remember the relationship than the number.(143ページ下から10行目)

さらには、統計の数を、ちゃんと他のものとの関係性を含めて伝えたのです。広島の原爆や、第二次大戦中の原爆と関連づけることで、その数が持つ意味が伝わったのです。このデモンストレーションが行われた会場では、いつも終わったあとは、深い深い沈黙が流れたそうです。

統計やデータは、そのまま伝えるのでは意味がありません。人々の”gut”に訴え、他のものとの関係性も示していく必要があるのです。このケースの素晴らしい点の詳細は4つにまとめて説明されています。142ページの最後の段落以降に書かれていますので、ぜひ読んでみてください。更なるヒントが見つかると思います。

2008/12/19(金)原則5つ目の”EMOTIONAL”は重要!

Chapter5は、メッセージを効果的に伝える原則5つ目の”EMOTIONAL”です。ここまで読んできて、人の「感情・気持ち」に訴えるのは他の原則でもポイントのような気がしています。そう思いませんか?例えば・・・”UNEXPECTED” ⇒ びっくりさせること。(11/911/10)”CONCRETE” ⇒ 相手に共感すること。(11/29)”CREDIBLE” ⇒ 人々が体感できるようにすること。(12/412/512/6)などなど。

気持ち・感情にアクセスするのは、記憶に残るメッセージをつくるのにとても重要なポイントだと思うのです。でも!「なるほどー。そうかもしれない。じゃあ、どうしたらいいの?」という感じがします。どうしたら、メッセージを”EMOTIONAL”なものにできるのでしょう?この章には、様々な例やポイントが書かれているので、参考にしていっちゃいましょう。

2008/12/23(火)”EMOTIONAL”に関する面白い実験(1)

ところで、”EMOTIONAL”でないものにはどんなものがあるんでしょう?”EMOTIONAL”であることを考える上で、その逆を考えてみようと思います。さて、何が思い浮かびますか?「感情」と対で使われる言葉といえば、「思考」ですよね。では「思考」が働くときって、どんな時なんでしょう?167ページに面白い実験が紹介されています。

製品調査を建前として人々を集め、調査が一通り終わると謝礼として5$を渡します。そして、お金といっしょに封筒を渡します。その封筒には、貧困で苦しむある少女の話が書かれた紙と、貧困で苦しむ子ども達に向けた募金を募るお知らせが入っているのです。さらに、お金と封筒を渡す前に、人々にはこちらで用意したことを考えてもらいます。用意したことは2種類。人々は、2種類のうち、どちらかのみ尋ねられます。

→ 1つ目はちょっとした計算問題。
→ 2つ目は、”baby”という言葉を聞いたときにどんな感情が生まれるかを書き出してもらうのです。

ちょっと整理してみると・・・手元に5$のお金。↓ちょっとした設問に答える。↓その後に、貧困に苦しむ少女のストーリーを読む。となります。さて、人々は、手元のお金を募金するのでしょうか?お金をもらう前に答えた設問は募金にどう影響するのでしょうか?

2008/12/24(水)”EMOTIONAL”に関する面白い実験(2)

さて、実験の結果はどうなったでしょう?167ページの下から6行目に書かれています。

When people were primed to feel before they read about Rokia,they gave $2.34, about the same as before. But when they were primed tocalculate before they read about Rokia, they gave $1.26.

「”baby”という言葉を聞いたときにどんな感情が生まれたか書く」という設問に答えた人々は、2.34$募金しました。けれど、計算問題を受けた人々は、1.26$の募金に留まったのです。なんと2倍の差が出てます。びっくりです!一体、何が起こっていたのでしょう?

・・・thinking about statstics shifts people into a more analytical frame of mind.When people think analytically, they’re less likely to think emotionally.(167ページ)

人々は統計や数字の話になると、分析的な思考が働いて、感情的に考えたり判断することが難しくなるんです。

Once we put on our analytical hat, we react to emotional appeals differently.We hinder our ability to feel.

“analytical hat”を一旦かぶってしまうと、分析的思考が働き始めて、感じる力が妨げられてしまい、心に訴えかけてくることにも違う反応を示すのです。これってちょっと驚きですよね。貧困に苦しむ少女の話を読む前に、「思考」が働いていたか、「感情」を感じる準備ができていたか。このことが、結果の違いを生んでいるのですから。さらに、続けて説明されていました。

・・・the goal of making messages “emotional” is to make people care. Feeling inspire people to act. (169ページ1行目)

「感情」は人々を行動するよう刺激します。つまり、「感情」をしっかり感じられた人々は、募金という行動を起こし、「思考」に意識がいってしまった人は行動しなかった、というわけなのです。人々に行動を起こしてほしいときは、「感情」に訴えかけるのが大事なんですね!

2008/12/25(木)多くの若者が喫煙をやめたCMとは?(1)

感情に訴えるのが大事、ということが分かってきました。では、どうやったら感情に訴えられるのでしょう?人々の感情に訴えかけることに成功したタバコ反対のCMが169〜171ページに紹介されていました。

タバコが体に良くないって知ってはいても、格好良い感じがするとか、友達が吸っているからといった理由で吸う若者って結構多いと思います。そんな若者に、「体に良くないよ」「法律違反だよ」なんて言っても逆効果だったりします。けれど、ここで紹介されているCMを見た若者は、半数以上はタバコを吸わなくなったのです。すごい効果ですよね!さて、どんなCMだったのでしょう?CMはこちらです。

見てみてどんな感じがしますか?このCMのポイントは一体何だと思いますか?

2008/12/26(金)多くの若者が喫煙をやめたCMとは?(2)

昨日紹介したCM。見てみてどんな感じがしましたか?本にも内容は書かれていましたが、実際に映像で見てみると、「タバコの害で死んだ人がそんなにいるのー!」とか、「それはけしからん!」とタバコ会社への怒りが生まれてくるのを私は感じました。スピーカーを持って話している人の怒りも伝わってきたりして、とても気持ちに訴えかけます。

You can’t watch the Truth ads without getting angry at tobacco companies. (169ページ)

本当にその通りですね。タバコ会社に怒りを覚えずにはいられません。

What’s the Truth campaign about? It’s about tapping into antiauthority resentment, the classic teenage emotion. (171ページ)

それだけでなく、若者たちの怒りや権威に対する反抗心を刺激したわけです。「身体に悪いからやめましょう」「日に換算しても沢山の人が亡くなってるんですよ」などと言われてもやめる気にはならない。

けれど、言い方は悪くても、「タバコ会社は、こんなに沢山の人を殺しながら、 利権を奮いつづけてるんだ! そんなの許せない!むかつく!」と言われたら、そりゃ許せん!となってやめる気になるわけです。

The Truth campaign isn’t about rational decision-making; it’s about rebellion. (171ページ)

理性的な決断ではなく、反抗心に訴えたわけです。若者たちを動かす感情を見抜いて、その感情に訴えかけるわけですね!

【おまけ】
これとは反対に、人々に”analytical hat”をかぶせるような未成年のタバコ防止CMがありました。人々の「思考」に訴えかけてしまったので、タバコをやめる人はほとんどいませんでした。そのCMとはどんなCMだったか?170ページ辺りに詳しく書いてあるので、ぜひ読んでみてください。

“The Truth”キャンペーンのCMと一体何が違ったのか?違いを感じることで、効果的なメッセージを作るヒントがきっと得られると思います。

2008/12/28(日)NLPからヒントを得ました!(1)

“EMOTIONAL”なメッセージを作るための重要なポイントって要するに何なんでしょう?前回取り上げたタバコ防止CMや、その他の事例。そして、いくつかの法則・・・。”EMOTIONAL”なメッセージを作るためのポイントが、様々な切り口から語られています。読みながら、考えを進めていきました。色々書いてあるけれど、要するにどういうことなんだろう?まずは、本の中にこんな文章を見つけました。

The most basic way to make people care is to form an associationbetween something they don’t yet care about and something they do care about.(173ページ下から3行目)

NLP: The New Technology of Achievementメッセージを”EMOTIONAL”にするためには、人々が気にかけていることと、まだ気にかけていないことを結びつけてあげる必要がある。ふーむ。では、人々が気にかけていることとは一体何なのでしょう?答えを探して、他の本も手に取ってみました。それはこの本です。*こちらのテキストは、ソフィー英語大学の講義でも取り扱っています。*NLP(神経言語プログラミング)の説明についてはこちら→ウィキペディア Chapter7 「Powerful Persuasion Strategies」の中に、こんな文章がありました。

Persuasion is the ability to offer compelling value to others.The key to this definition is the values are not yours, but theirs.(162ページ4行目)

「説得」とは、相手にとって絶対的な価値を提案する能力だ。さらに大事なポイントは、あなたの価値ではなく、相手にとっての価値だ。「説得」って聞くと、「言いくるめる」みたいなイメージがあると思います。でも、実は違っていて、相手がとても大事にしていること、気にかけていることを知り、価値あるものを提案していくことなんですね。

これって、メッセージを効果的にする上でも、非常に参考になることだと思うんですよね。先に取り上げた、”Made to Stick”に書かれていることとも一致すると思うんです。相手が大事にしている価値観、とても気にかけていることを知り、自分が伝えたいメッセージをリンクさせて伝える。こうすることで、人々の心に残るメッセージが作れるんじゃないかと思います。さて、では、相手が大事にしていることはどうしたら分かるのでしょう?

2008/12/29(月)NLPからヒントを得ました!(2)

さて、では、相手が大事にしていることはどうしたら分かるか?”NLP”の中では、実際に相手に聞こう、と書かれていました。例えば次のような質問です。

  • 「あなたにとって大事なことは何ですか?」
  • 「○○において、あなたが大事にしていることは何ですか?」
  • 「あなたをやる気にさせるものは何ですか?」

答えがモノやコトの場合には、さらに奥にある価値観を探ってみるのです。ただ、相手に聞くことが無理な状況もあるかと思います。そうした場合には、上に挙げた質問を自分で考えてみるのです。

  • 「(相手)にとって大事なことは何だろう?」
  • 「○○において、(相手)が大事にしていることは何だろう?」
  • 「(相手)がやる気になるものは何だろう?」

こちらも、答えがモノやコトの場合には、さらに奥にある価値観を考えてみます。時間はかかるかもしれないけれど、きっと役に立つのではないか、と思います。私も今チャレンジ中の行動です。もしヒントになりそうだったら、ぜひやってみてください!

【行動の報告!】

11/11に宣言した行動ですが、やってみたので報告です。気づいたのは、そんなに難しいことではないのだ、ということでした。ポイントは、伝えたいメッセージを発信する前に、ちょっとだけ時間をとる、ということでした。その時間で、相手の顔を想像したり、どう伝えたら驚くかな??って考えながら、メッセージを再構成するだけです。ただ、言葉の順番を変えるだけの場合もありました。

あとは、カレーライス効果を使って、寝かせてまた読んでみるのも重要でした。しばらくしてから読んでみると、「いまいちだな・・・」「もうちょっとこうしてみよう」とか磨きをかけることができます。ちょっとの時間をとることと、カレーライス効果を使うこと。実はこんなシンプルなことが”Unexpected”なメッセージを作る上では大事なんだ、って改めて気づきました!

2008/12/31(水)ぜひこのストーリーを読んでください!

Chapter6は、最後の原則、ストーリーについて説明しています。ストーリーって、本当にインパクトがあります。ドラマやノンフィクションなどのテレビ番組、本屋に並ぶ小説、絵本、新聞、映画。気づけば、ストーリーって、私たちの日常にたくさんあります。それだけ、人々に好かれていて、心に残るものだってことが感じ取れます。本の中にもこう書かれていました。

Stories have the amazing dual power to simulate and to inspire.And most of the time we don’t have to use much creativity toharness these powers―we just need to be ready to spot the good onesthat life generates every day.(237ページ)

ストーリーはとてもパワーを持っています。人々を刺激し、インスパイアします。そして、ストーリーは実は日常の中に既に存在しているから発見しさえすればいいのです。この章にもたくさんの面白いストーリーが載っているのでぜひ読んでみてくださいね。そして、日々の生活の中でぜひストーリーを探してみてください。今日は2008年最後の日。そんな時に贈りたいストーリーを紹介して終わりにしたいと思います。

アフラックのCMをご存知ですか?プロスケーターの井上怜奈さんが起用されているCMです。CMは、彼女のストーリーの一部のみになっていますが、ホームページには彼女のストーリーがもっと詳しく紹介されています。既に存在していた彼女のストーリーを保険会社のアフラックは発見し、CMにしたのだと思います。本当に大きな力を与えてくれる彼女のストーリーをぜひ見てみてほしいです。

http://www.aflac-ikiru.com/(右側の「生きる」ストーリーをクリック。表示された画面の「井上怜奈さん」をクリック。画面下の「>」で22枚のスライドを見てみてください)今の時期、おそらく2009年の目標を立てている方も多いと思います。ぜひ彼女の言う、自分がとことん好きでプロセスを楽しめるような来年の目標を決めてみてくださいね!そして、良いお年をお迎えください。3ヶ月間、読んでいただいてありがとうございました!

2009/1/1(木)最後に

今回をもって、「いっしょに読もう!」コーナーの担当を終えることになりました。気づけば、このコーナーが始まって2年が経っていました。色んな本を色んな人といっしょに読んで、学んだことを行動に移して、自分自身も大きく進化した2年でした。この進化は、スタートの当初からは予想もできませんでした。自分でも驚きです。どの本もとても学びが多く、これからも何かヒントを探すために手に取ると思います。もちろんそこから行動へと移していくでしょう。本当に貴重な2年間でした。

そして、何より、ここまで続けてこれたのは読んでくださったあなたのおかげです。本当にありがとうございました。今年からは、このコーナーも新しく生まれ変わってますますエキサイティングなものになります。ぜひ楽しみにしていてください。私は今後も引き続き英語大学の講師としてみなさんの学びのサポートをしていきます。ぜひ恵比寿キャンパスにも遊びに来てください。それでは、またお会いしましょう!

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