「習慣学」 “Atomic Habits” 講義作成後記

こんにちは、ソフィー・ジ・アカデミー恵比寿校の冨樫です。

今回のブログでは、「習慣学」として開講した”Atomic Habits”の講義作成後記をお伝えしたいと思います。

昨年開講したこの講義、「習慣」を作るための本として受講生の方からも非常に好評を頂いておりますが、実はこの本の魅力はそれだけではありません。

世の中に数ある習慣に関する本の中でも、特にこの本をオススメする理由は、本の中に散りばめられている筆者のメッセージにあります。

*講義とは、ソフィー・ジ・アカデミーで洋書テキスト1冊ごとに作成しているものです。詳しくはこちらをご覧ください。

(”Atomic Habits”の講義紹介ページはこちら

講義を作るにあたって意識したこと

この本に限らず、講義を作る時に意識している点があります。それは、「もし筆者がこの本を一言で紹介するとすると、本の中のどの一文を使うだろう?」「この本を通して筆者が最も伝えたいことは何だろう?」という点です。

こういうのは本の裏表紙やイントロダクションに書かれていることが多いんですが、その中でも僕は下記の一文が”Atomic Habits”の筆者が最も伝えたいことなのではないかと思いました。

“If you’re having trouble changing your habits, the problem isn’t you. The problem is your system.”

(もし習慣を変えることに苦労しているとしても、問題はあなた自身ではない。問題はあなたが使っている仕組みなのだ。)

日本でもそうだと思いますが、アメリカにおいても、例えば太っていたり、喫煙が止められなかったり、悪い習慣をやめられない人や、何かしらの中毒になっている人、というのは「自制心が足りない」「怠惰だ」「規律がない」という捉えられ方をされているそうです。

本文中では”bad person”という表現も使われていますが、日本語的に言うと「どうしようもない人」という感じでしょうか。こういった扱いを受けると、人はどうなるか?どんどん自信を無くしてしまいますよね。筆者は、良い習慣が続かなかったり、悪い習慣がやめられなかったりするのは、その人の問題ではなく、仕組みの問題。だからこの本でよい仕組みを作っていこう、としています。

この本は一見すると習慣の作り方を教えている本の様に見えますが、本質的には「自分に自信を取り戻させてくれる本」なのではないかと思いましたし、筆者が一番伝えたいメッセージもここにあるのではないか、と考えました。従って、このメッセ―ジを自分なりに伝えることが出来る様な講義の作成を今回は心掛けました。

タイトルの意味

「”Atomic Habits”というタイトルがわかりづらい」という声や「理系の本はちょっと…」という反応を何度かいただいているので、受講を迷っている方のためにタイトルの意味を説明したいと思います。

“Atomic”とは「原子の」という意味を持つ単語ですが、これがタイトルの一部になったのには2つの理由があります。

1つ目の理由は、原子レベルの小さな習慣を形成することの大切さ、ということを伝えるため。

そして2つ目の理由は、原子が分子を構成し、それらがやがて一人の人間を構成する様に、習慣があなたという人間を構成していくんだよ、ということを伝えるためになります。実は「あなたという人間を構成する小さな習慣を積み重ねていく方法」という内容を説明するもので、単純明快なタイトルになっているのです。

“Atom”と聞くと、理系の難しい話が続くのかな?と思うかも知れませんが、上記の様な意図でつけられたタイトルなので、理系の知識がなくても大丈夫です。どうぞご安心ください。

他の習慣の本と違うなと思ったところ

実はこの本、ソフィーのテキストの一つでもある”The Power of Habit”にかなり影響を受けています。それに、習慣作りの方法論に関して言うと、目新しい情報というのは実はそれほど多くはありません。

それでもこの本をオススメする理由としては、どんな習慣を身につけたいのか考える前に、まずは自分が「どんな人間になりたいのか」を先に決めようという、他の習慣の本にはない、一味違った切り口で話を始めているからです。「どんな人間になりたいのか」つまり、どんなアイデンティティを持ちたいのかを考える。そこからスタートすることで、これまでと違う習慣の作り方になっていくわけです。

筆者の励ましの言葉

現代社会はとても忙しいです。育児や仕事、自分自身の時間を作るのが一苦労、という人も少なくないでしょう。そんな中で、せっかく一週間続けてきた習慣をうっかり一日忘れる、ということもあるかもしれません。そんな時、「やっぱり自分はダメなのか…」と思いがちですが、筆者はそこで「でもそれって、全部負け、じゃなくて、7勝1敗じゃない?」ということを言っているんですね。

このことの説明として、筆者は習慣を投票に例えています。毎日の習慣は、なりたい自分に対する「投票」つまり、最終的に過半数を取れば良いこれまで習慣作りがうまく行かなかった人は、もしかしたら、たった一回のミスにも敏感になってしまっているかも知れません。ミスやすっぽかしがあってもOK。なりたい自分の方により多く「投票」していけばいい。

そんな筆者からの励ましの言葉が本の至る所にあるのも、この本の魅力の一つです。

講義作成を終えて

ソフィーの講座を検討している方から、「英語をやらなければいけないのは分かっているけど、なかなか習慣に出来ない」という声をよく聞きます。この本を読むことで、人間の脳が何故、そしてどの様に習慣を形成しているのかということを理解することが出来ますので、英語はもちろん、様々な習慣の付け方というのを身につけることが出来ると思います。

また、冒頭にも書いた通り、この本は習慣作りということ以上に、それを通して「自分に自信を取り戻させてくれる本」だと思っています。2020年ももうすぐ半分が過ぎようとしていますが、習慣作りなどがうまく行かず、「やっぱり今年もダメそう…」と思っている人に、特にこの本をオススメします!

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